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夜の蝶の物語
第3章 年増のリリーさん

「遅かったじゃないですか!」

車に乗り込むと、
稲本は何本もタバコをふかして
リリーさんの帰りを
待っていたのでしょうか
車の中はもうもうと煙っていた。


「ごめんなさい…」

リリーは涙声だった。

女の子には女の子のつらさがあるのだろうと

稲本は勘違いして、
好みのタイプのリリーのつらさを思いやり
それ以上、キツイ言葉で叱るのをやめた。



事務所に帰りつくと、
咲桜(さくら)さんが
今か今かと待ち構えていた。


「リリーさん遅い~っ!!
咲桜ちこくしちゃう~っ!!」

アニメ声で咲桜が地団駄踏んで抗議した。

巨乳のAV女優を彷彿させる
ダイナマイトボディなのに

それが地声なのか
テレビアニメから聞こえてきそうな
可愛らしさだった。


「ごめんなさい…
帰り支度に手間取っちゃって…」

三十路の女が
未成年の女の子に頭を下げる姿は
ある趣、滑稽だった。


「じゃあ、稲本のおじさん、
よろしくですぅ~」

咲桜(さくら)は稲本に向かって
敬礼ポーズで甘えた。

お辞儀をすれば尻が丸見えになるほどの
ミニスカートの咲桜は
Tバックを履いているのだろう。

スカートがヒラヒラしてのぞくお尻からは
尻肉がプルプルと震えていた。

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