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キャンバスの華
第5章 華の嫉妬
「次郎さん・・・公私混同はしたくないの・・・
だからお仕事のときは 今までどおり
師匠と弟子よ」
「はい・・・それはもちろん・・・でも今は?」
作業場へ向かう道のりも
すでに仕事の領域に
入っているのではないだろうか?
「うふ・・・我慢できなくなっちゃった・・・・」
だからせめて風呂屋へたどり着くまで
甘えさせてほしいのと
恥ずかしそうに下を向いた。 i
風呂屋に到着する前に
二人は繋いでいた手を解いた。
さりげなく・・・・
いつもの師弟のように振舞わなければ・・・・
風呂屋の女将はすこぶる機嫌が悪かった。
なぜなら今日は旦那さんが
在宅していたからだ
それ以上に作業に訪れた次郎たち二人が
醸し出す愛の香りが気に食わなかった。 風
呂屋の亭主は
昨日に描いた男湯の富士の絵をたいそう褒めた。
「ぜひ女湯の方は
赤富士を描いてもらいたいものだ」
賃金を払ってくれる亭主の要望ならば
応えないわけにはいくまい
「わかりました。
精一杯、描かせていただきます」