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キャンバスの華
第8章 別れ、そして新たな旅立ち
それは、もはや打つ手なしという
宣告だった・・・・
「会わせてあげたい人がいたら今日中に・・・」
今夜がヤマだと暗に医師はそう告げた
「そ、そんな!!先生!
なんとかしてください!!!
血がいるのなら俺の血を
全部抜いても構いませんから!!」
これにて失礼するよと言う医師の袖を握り締めて
次郎は必死に引き止めた。
「儂とて、なんとかしてあげたい・・・
だが・・・
もうどうすることもできんのじゃ・・・・」
必死に鷲掴む次郎の手を
そっと引き剥がし残念そうに医師は去っていった。
やがて日が暮れ、
丑三つ時になろうかという頃に
華の意識が混濁し始めた。
うわ言のように
ボソボソ話し始めた華であったが
フイにはっきりと次郎の名を呼んだ
「次郎さん!!次郎さん・・・どこ?」
「華!!俺はここにいます!
ずっと華の手を握ってますよ!!」
「寒いの・・・すごく寒いの・・・
抱いて・・・抱きしめて・・・」
華の意識が薄れていくのを次郎は感じ取った
「抱きしめているよ!華、ほらわかるかい!
俺はこんなに強く華を抱きしめているよ!!」
華の身体を起こして、次郎は強く抱きしめた。