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シャイニーストッキング
第12章 絡まるストッキング6      和哉と美冴2
 119 向日葵の天使

「あっ…」

 えっ、なんだ…着替えたのか…
 コンビニから出てきた美冴さんは着替えていたのである。

 白いノースリーブのTシャツ、薄い黄色系の短いコットンの開衿型のシャツを羽織り、やはり薄い黄色の膝丈のキュロットスカートを穿き、白い網目のミュールサンダルを履いていた。

 その姿は正に真夏の海辺のリゾート地にぴったりなファッションであり、そう、その姿は…

 黄色、いや、向日葵の天使の様であった…

「もう何をジロジロ見てるのよぉ…」
「あっ、えっ、いや…」
「だってぇ今から水族館に行くのにさぁ、見るからに喪服的な真っ黒じゃさぁ…
 しかも真夏の海沿いなのにさぁ…」
 そう言ってきた。

 うわぁ、なんて素敵なんだ…

 さっきまでは黒い女神で、今度は黄色い天使みたいだ…

「もう、恥ずかしいからそんなに見ないでよぉ」
「あ、いや、綺麗でかわいいなぁって…」
「もぉかわいいって、こんなおばさんにぃ…」
 本当に若く見える…

 本当に五年前と全然変わっていない、いや、逆にあの頃より若返ってるみたいだ…
 美冴さん一人だけ、時間の経過が止まっているように感じられる。

「あっ、でも着替えを持ってきていたってことは…」
 僕はふと気付いた。

「えへっ、うん、そうなの、最初から水族館に来ようって思ってたの」
 照れ笑いをしながら言ってきたのである。

 うわぁなんて笑顔なんだぁ…
 あまりのかわいい笑顔に胸がときめいてしまう。

「なんだぁ、そうなら最初から言ってくれればいいのに」
「うんごめんね、でも、ほら、まだちゃんとは決めてなかったからさ…」

「えっ、ちゃんと…ですか」
 そう言うと、美冴さんは話してきた。

「うん、ちょっと和哉の様子を見てから決めようかなって…ね」

「えっ…」
 
 僕の様子って…

「ほら、なんか、昨夜のさぁ…
 うーん、アレをさ…」 
 なんとなく言いずらそうである。

「ほらぁ、昨夜のあの感じを朝から引きずってウジウジしてたらさぁ…」

 ウジウジって?…

「どこにも寄らずに直帰しようかなぁっても考えていたから…」
「えっ…」
「でも朝からいつもの爽やかな和哉に戻ってたからさぁ、良いかなって…」
「そうだったんですか…」

「うん、合格よ…」
 にこりと、そんな天使の微笑みをしてきたのである…




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