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シャイニーストッキング
第13章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一
 64 呪縛 ②

 ちなみに私の童貞喪失は高校一年の冬、相手はきよっぺではなかった。
 初めてのキス、そしてそれからの定期的なペッティング等の相互愛撫の経験が中学一年の13歳の夏休みからという事を考えると、四年間のタイムラグがあったのだ。

 それはひとえにきよっぺの言葉の呪縛のせいといえる…

 それにまた当時は今のように気軽に、簡単に避妊具等を買える様な環境ではなかったし、ましてや中、高校生にはかなりハードルが高かったといえた。
 そんな時代であり、流れでもあったし、まだ中学生の子供の私にとっては
『赤ちゃんが出来ちゃうから…』
 というきよっぺの言葉は重く心にのしかかり、そして呪文の如くに中学生の心を縛り付けていたのだ。

 だからきよっぺと別れて相手が変わってもセックス、性交は未体験であったし、憧れはあったのだが、そこまでの願望は起きなかったのだと思う…


 そして高校に入学し、電車通学となると、通学の電車がきよっぺと偶然同じになった。
 すると私達は、まるで磁石が引き寄せられるかの如くに、再び自然と、付き合いを始めたのである…

 だが、当時の彼女は既にフェンシングで全国有数の優秀な選手であったし、かたや私は、甲子園常連校の野球強豪高校に入学したからお互いに練習、試合等でかなり多忙であったのだ。
 だから以前の中学生時代の様には二人で快楽を貪り合う等の時間がなかなか出来ないでいた。
 だが、朝の電車通学はお互いに朝練があって同じ時間であったから、唯一、毎朝の僅か20分間の電車内が心を通わせる時間であったのだ。
 でも、私もそうであった様に、きよっぺの心にも、あの以前の心もカラダも蕩ける様な快感の相互愛撫、ペッティングは忘れられなくて、何とか時間の都合を付けては月に1、2回ではあったのだが、お互いを求め合っていた。

 だが、決して、ペッティング止まりであり、セックス、性交をしようとはお互い言わなかったのである…が、翌年、彼女が大学に入学し、ある変化が起きたのである。

 それはきよっぺがフェンシング特待生で体育大学に進学した春、五月であった…


「…あ、起きてたの…」
 そんな昔の事を思い返していたら、きよっぺが目覚めた。

「あ、うん、さっきね…」

「やだぁ、オバさんの寝起きの顔なんて見ないでよぉ…」
 そう言って寝返りし、背中を向ける。



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