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第13章 絡まるストッキング7　　　　　　本部長大原浩一

　73　ゆかりとの電話（18）

『でもぉダメですからねっ』
　突然、ゆかりは語気を強めに言ってきた。

「えっ」
　な、なんだ…

『あまりにも羽目を外し過ぎて…
　懐かし過ぎる昔の元カノとかと、焼けぼっくいに…
　なんてことはダメですからねっ』
　と、今までとは真逆の風向きの言葉を言ってきたのである。

「あっ、う、うん…」

　えっ、ま、まさか…

　まさかの、昨夜の核心に触れてきたのだ。

　ドキドキドキドキ…

　心臓が…破裂しそうなくらいに急激に高鳴ってきた。

　やっぱりゆかりは…
　本当は、全部分かってるんじゃないのか？…

「な、何を…」
　二の句が継げなかった…

　そのゆかりの言葉は、まるで昨夜の私ときよっぺの、運命の再会と云える逢瀬を、正に言っているのではないのか…
　と、私は再び胸を激しく高鳴らせてしまい、そして心に罪悪感と焦燥感が湧き起こってきたのである。

『……………』

「……………」

　一瞬、二人で沈黙をしてしまう。

　そして…

『ああぁ…』
　と、ゆかりは今度は泣きそうな声を電話の向こうから囁いてきたのである。

『ああぁ…
　ごめんなさい…
　ごめんなさい、わたし…
　わたし……ったら…………』

　そのゆかりの声は…

　泣いているようであった、いや、今にも泣き出しそうな声であったのだ…

『ああ、もお、わたしったら、もぉヤダ、ダメ、最低だわ…』
　そしてそんな悲壮的な声で自虐してくる。

　え、な、なんだ…
　私は応えようがない。

『ああ、浩一さん…
　ごめんなさい…わたし…最低…です』
　一人、電話口で自虐の声を上げていた。

『わたし…
　わたし…
　あまりにも……
　あまりにも浩一さんに会いたくて、変になっちゃって…
　一人で勝手に、色々と、ぐちゃぐちゃと、変な事ばかり考えてしまって…』
　と、既に、完全に涙声になっている。

　いや、ゆかりは泣いていた…のだ。

　私に会いたくて…

　ゆかりが泣いている…

　あの…

　ゆかりが…