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シャイニーストッキング
第13章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一
 82 律子との電話(6)

「うーん…」
 
 どうするべきか…と、私は本気で迷い始めていた。

 そしてオスのいやらしいスケベな本能が心の中で突然顔を出して囁いてきたのだ。

 律子とも過ごせばいいんじゃないか…

 過ごすつもりがあったんだろう…

 ヤりたいんだろう?…

 横浜じゃあ、不発だったじゃないか…

 ゴルフ帰りのハイヤーの中でそう思ってたくせに…

 気にせずヤればいいんだよ…

 律子が、いや、律子も堪らなく好きなんだろう?…

 ヤれよ、尖れよ、そう決めたんだろう?…

 それは、まるで悪魔の囁きであった。

「うーん…
 まだ、はっきりと決めてはいないんだが…」
『はい…』
「13日の10周忌さえ終えれば…
 私の役目は一段落するんだ、だが…」

 迷いに迷っていた…

 とりあえず本当に13日の法事を無事に終わらせ、久しぶりの親戚達と顔を繋げさえしてしまえば私の役目は終わりなのだ、なぜなら、実家の跡取りは弟の健次であり、私は長男とはいえ、既に実家を後にし東京に出ていった人間だからである。
 だが、この土地も、市街化、都市化がどんどん進んでいるとはいえまだまだ田舎なのである、いくら実家を出ててしまったとはいえ長男の役目は田舎なりに沢山あった。
  だが、私は、この10周忌を節目と考えていて、財産等の相続も一切放棄して全ての財産等を弟に譲ろうと考えていた、そしてその話しを13日の法事が終わった夜にでも話しをしようと考えていたのである。

 だから13日さえ過ぎれば、もう用事は済んだ様なモノなのであるのだが…
 実は、新たな心の揺らぎが生まれていたのだ。
 それは、運命的の再会を果たした、『きよっぺ』という存在であった…

 彼女とはああいう関係にはなったし、また今夜の予定もある…
 だけど、おそらくは、この私の田舎のこの土地でしか、つまりは帰省をした時にしか今後も係わらないはずなのであるし、そうなる筈なのだ。

 だがしかし、まだ昨日の今日なのである、まだまだ心が昂ぶっている…
 そして、まだまだ後ろ髪を引かれる思いが湧いていたのだ。

 つまりは…もっときよっぺとヤりたいのである。

 だから、本音は、そんなに急いで東京に戻りたくはなかった、いや、もう少しだけ居たい…
 という想いがあった。

 迷いに、迷っている…のだ。
 




 
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