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シャイニーストッキング
第13章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一
 273 騒めく想い

『律子をもう引き返せないほどの深みに引き入れてしまった…な』
 と、いう騒めきの想いが心の奥深くに蠢いてきていた。
 しかし反面、そんな想いを自覚すればするほどに、この傍らで私の腕の中に抱かれている律子のことが、より愛おしく感じてきてくる。

「ふうぅ、まだ…アソコがジンジンする…の」
 私の腕に抱かれている律子が濡れた目を向け、恥ずかしそうにそう囁いた。

 ああ…
 そんな律子に私の心が震えてしまう。

 そして…
『いや、もう引き返せないくらいに魅了され、深みにハマッているのは私の方なんだ…』
 そんな想いが、この律子を見て自覚した。

 引き入れたんじゃない、私が引き込まれてしまったんだ…
 そう思った途端に、ザワザワと心が騒めいてくる。

 今更もう、この律子をないがしろには出来ないし、いや、もう…

 もう、離れられないと思う…

 ついこの前まではゆかりとの自分の心のバランスを考えて、律子に対してヒリヒリとした想いがあったのは分かっている…

 だが、今は…

 あのヒリヒリとした感じは無くなり、逆に、ワクワク、ソワソワとした感情に変わってきていることも自覚している…

 いつからだろう…

 私はざっと、律子との出会いからのことを思い返していく。

 あっ…

 この前の、横浜の夜からだ…

 あの夜から確実に律子という存在感がこの私の心の中に鎮座したのだ…

 そして…

 あの横浜の夜から…

 律子からの電話を、内心、期待し始めている…

「どうかしましたか?…」
 そんな心の中の騒めきの想いを頭の中で整理していると、甘えた声で律子が訊いてきた。

「あ、いや、うん…」
 この律子の甘えた声にも心が震えてしまう。
 本当にこの声は、私の心に心地良く響いてくるのだ。

 そして律子は私の腕の中からジッと見つめてくる。

 ああ、この目はヤバい…

 いつの間にかにザワザワは、ワクワクという心のときめきに変わっていた。

「あ、いや、明日の日光のさ…」
 思わず、そんな誤魔化しの言葉を呟いてしまう。

 実は、夕方の『日光にでも…』という律子の言葉がずっと心に引っ掛かっていたのだ…

「ええっ明日、日光にぃ、一緒に行ってくれるんですかぁ」
 律子は明るく、本当に嬉しそうに言ってきた。

 ヤバい、言ってしまった…




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