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第14章 絡まるストッキング８　　　　　　　　部長佐々木ゆかり

　9　面談の願い

「わたしとぉ、ずっと働いてきていてぇ、ライフプランナーと、ファイナンシャルプランナーの二つの資格も持っているんです…
　なんとかお話しを、いや、面談をお願いできませんかぁ…」
　越前屋さんがそう言ってきた。

「え、ライフプランナーとファイナンシャルプランナーの二つを持っているのっ」
　思わず驚いてしまう。

　なぜならば…
　その『ライフプランナー』と
『ファイナンシャルプランナー』
　その二つの資格は、これからの新しいカタチの保険会社を目指して創設する我が
『ANL（あんしんネットライフ）生命』にとっては喉から手が出るほどに欲しい資格なのである。

「はい、そうなんです、彼女もわたし同様に…」

　そうなのである…
　今回吸収合併した『○△生命保険』は、その社名こそ広く、世間一般には一流保険会社として名前が通っているのだが、その社内の社風と実情はまるで旧態依然とした完全なる『男尊女卑』であり、男性中心の会社であった。
　そしてその社内の実情は、越前屋さんのような東京大学卒業で『上級国家公務員試験』に合格した位の超優秀な女性社員ほど、より強く虐げられてしまう様な社風の会社であるのだ。

　いや、そうであったのだが…
　今回の吸収合併による完全子会社化によって、180度近く改善し、生まれ変わる、いや、生まれ変わり始めているのである。

　そして越前屋さん曰く…
『彼女も以前、わたし同様に虐げられてきていた存在』
　で、あるという。

「うん、いいわよ、そんな喉から手が出るほど欲しい資格を持っているし、なにより越前屋さんからのお話しなら無下にはできないわ…」
　これは本音であった。

　それにこの越前屋朋美さんは、あの大原本部長が執行役員として単身でこの保険会社に乗り込んだ時に、秘書代わりとして、そしてまた、内部情報提供者として、またそんな提供者との橋渡しとしてもとても重要な役割を果たしてきたのである。
　だからそんな彼女の推薦の影響力は大きく、今回の保険会社側からの引き抜いてきた人材の殆どが、そんな彼女からの情報によるモノなのであるから…なのである。

「で、いつが良いのかしら？」