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シャイニーストッキング
第14章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり
 33 成功の予感しか…

「そういえばさぁ、あっちんはアメリカからいつ帰ってくるのぉ?」
 すると越前屋さんはそう訊いてきたのだ。
 そうなのだ、伊藤さんは明日から両親の住むアメリカに渡米する予定だからと急遽、今夜の面談になった筈だった。

「うーんそうなのよねぇ、本当はしばらく帰ってこないつもりでいたからさぁ…
 でもお世話になるし、面談もあるからすぐに帰ってくるわよ」
 そう伊藤さんは言った。

「えっ?」
 わたしには、一瞬、その伊藤さんの言葉がどういう意味なのかわからず、そう呟いてしまう。

「あっ、そうなんです、実は…」
 …すっかり嫌気が差してこの保険会社を退職したから、しばらく両親の住むアメリカのロサンゼルスに一緒に住んで、場合によっては向こうで仕事を探そうかなって思っていたんです。
 だから、それまで住んでいたマンションも引き払っちゃったんですよ…
 そう話してきた。

「あぁ、そうだったんだぁ…」

「はい、そうなんです、あ、両親は3年位前から父親の仕事でロサンゼルスに住んでるんです」

 父親は某有名重機メーカーの部長さんらしい…

「じゃあ今夜は?、明日出発なんでしょう」
 そうわたしが訊くと…
「はい、今夜はこのえつの家に泊まらせてもらうつもりなんです」
 伊藤さんはそう答える。

「はい、今夜はウチにぃ…」
 越前屋さんは満面に笑みを浮かべていた。

「あ、でもだとしたらアレよねえ…
 連休明けから住むところ無いんだね…」
 
「ま、そういうことになりますけど、なんとか急いで会社の近くにでもマンション探しますよ…
 場合によってはしばらくホテル暮らしでも構わないし…」
 伊藤さんはそうサラっと言ってきた。

 彼女は見かけよりも、意外とドライなのかな?…
 わたしはなんとなくそう思った。

「えー、だったらぁ、暫くはわたしん家に一緒に住もうよぉ…」
 すると越前屋さんは、明るく言ってきたのである。

 ああ、本当に越前屋さんは明るくて楽しい存在だわ…

 そして今夜はそんな越前屋さんのおかげで楽しい女子会的にもなった…

 それにこの伊藤さんも不思議な魅力のある存在だし、仕事もバリバリできそう…

 わたしはこの先色々な意味で、楽しみとしか思い浮かばなかったのである。

 そして、やはり…

 この先の成功の予感しかなかった…
 



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