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シャイニーストッキング
第14章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり
 136 ヤっちゃえばよかったのに…

「あ、いや、あ、そ、そのぉ…
 お、思いましたぁっ」
 と、杉山くんは悪い事が思い浮かんだ、と、叫ぶように言ってきた。

 本音のカミングアウトである…

「なんて…
 なんて思ったのよ?」
 わたしは、分かっているけども更にたたみかける。

「あ…、いや、あの…その……」
 
 この頃のわたしは、もう、こんな杉山くんの反応が可愛いく感じてしまって堪らなくなっていたのだ…
 そう、大好きな子を苛めるイジメッ子の様な感覚であった。

「ねぇ、なんてぇ、思ったのよぉ?」

「あ…、いや、あ、や、ヤリたい……なって…」
 完全にしどろもどろである。
 そして汗も出ていた。

「……っちゃえばよかったのに…」
 するとわたしは思わず呟いてしまった。

「え?…」
 だが、杉山くんは聞こえなかったようである。

「思い切って、ヤっちゃえばよかったのにって言ったのよ」
 わたしはそう言い直したのだ。

「あ…、いや、でも…」
 それには杉山くんも驚いた顔をしてくる。

 だが、あの朝も、そしてあの後も決してそうは思いはしなかった…

 今、この流れの勢いでついそう言ったのだ…

「そうよねぇ…
 キミはさぁ、その後の事もちゃんと考えてしまったのよねぇ…」
 これが本当はわたし的には正解なのだが、なんとなく、そう意地悪く、呟いたのである。

 本当だったら、もしあの夜に杉山くんにヤられてしまったら…

 怒りはしないけども、もの凄く後悔をした筈なのである…

 だから本音は、ヤれなかった杉山くんには感謝をしているのだが…

 とにかく、この今の彼の慌てよう、そして焦りようが面白くて堪らないのである…


「…………」
 そして杉山くんは焦り、慌て、言葉に詰まってしまう。

「でもさぁ…そこなのよねぇ…」

 わたしの意地悪な心は未だ収まらない…





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