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シャイニーストッキング
第15章 絡まるストッキング9     美冴とゆかり
 220 電話

 チェックアウトをし、ホテルを出ると、まだ午前10時くらいなのに、渋谷の街は凄い人混みと、暑さであった。

「うわっ、暑っ、ダメ、美冴さんタクシーで行きましょう」
 ゆかりさんはそう言ってタクシーを拾う。

「とりあえず羽田ランプ目指して…」
 タクシー内はエアコンが効いていて快適であった。

「あ、そうだ…」
 するとゆかりさんは携帯電話を取り出してくる。

「昨夜、鳴ったら嫌だから、電源切っていたの…」

「あら、わたしもですよ…」
 わたしもそう言い、携帯電話を取り出して電源を入れる。

 そう、昨夜、携帯電話の着信で、二人の夢の時間を破られたくはなかったのだ…

 それにどうせ着信の相手は決まっているから…

 そしてチェックをすると、やはり武石健太からの通話と、メールの着信が表示された。

「あ…」

「ん、健太からでも着てた?」
 するとゆかりさんが訊いてきた。 

「あ、うん、はい…、ゆかりさんは?…」

「わたしは…うんと…」
 そう呟きながら携帯電話を操作している。

「あ…ん?…あら…」
 なんか、そんな不思議な声を上げてきた。

「杉山くんから…と、ん、知らない番号、彼からは…無いわ…」
 そう呟く様に云ってきたのだ。

「知らない番号から…」

「うん、たまにあるのよ、でもたいがいは仕事関係なんだけどさぁ、でも、お盆休みだし、心当たりもないし、間違い電話なんじゃないのかなぁ」

「そうですかぁ…」
 彼からはないんだ?…
 多分、わたしのそんな言葉尻にそんなニュアンスを感じたのだろう。

「彼は昨夜は10回忌の法事だって云ってたから…」
 と、まるで、自分に言い聞かせるかの様に呟いてきた。

「あ、法事かぁ…」
 そう、法事は何かと親戚関係が面倒なのである、そしてわたしも…
『ウチも来年は確か7回忌だから、忙しそうだわ…』
 そう考えてしまう。

「健太はぁ?」
 するとゆかりさんがそう訊いてきた。

「通話とメールの着信表示が…」



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