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シャイニーストッキング
第15章 絡まるストッキング9     美冴とゆかり
 244 『夢の国』に融ける(3)

「あのミッチーが、今、親のコネでさぁ、ベイサイドのホテルの副支配人しててぇ、その絡みの特集組んだんだよね」

「あ…」
 わたしは少しドキドキしてきていた。

 ここにも『黒歴史』が存在していたのだ…

「ね、ねぇ、お願いがあるの」

「うん?」

「そ、そのさぁ、ミッチーのコネを使ってさぁ」

「あ、うん?」

「なんとかホテルの宿泊の予約取れないかしら?」

「え、予約を?」

「うん…
 今夜の予約を…」

「えっ、こ、今夜ぁ」
 さすがの稲葉ディレクターも驚いてきた。

「うん、今夜…」

「こ、今夜ってぇ、お嬢さん、さっきのテレビ見たんだよねぇ?…」

「うん、見た…」

「お盆休みで、すごい混雑で、入場制限ってさ…」

「うん…」

「それを今夜ってぇ?」

「うん、今夜なの…」

「あちゃぁ…
 さすがお嬢さんだぁ、そんなところ昔と全然変わってないやぁ」

 昔と変わってないって…
 それには少し引っ掛かるが、今は下手にお願いするしかない。

 だって…
 急に、美冴さんと『夢の国』に泊まりたくなってしまったのだから…


「なんとかさぁ、稲葉さんの顔と、あのミッチーのコネで…」

「お嬢さんからの数年ぶりの頼みだからぁ仕方ないなぁ…
 一応、ミッチーに訊いてみるよ…
 実はさぁ、ついさっき電話で話したばかりだからさぁ、すぐ連絡取れると思うんだよね」

「あぁ、じゃあ…」

「うん、ちょっと待ってて…」

「あっ、あっ」

「えっ?」

「くれぐれもわたしの存在はナイショで…」

「えっ…あっ、うん、わかったから、待ってて」
 と、稲葉ディレクターは言い、電話を切った。


 本当は、ヤツに借りを作りたくはなかったのだが…
 お盆休みの繁忙期の最盛期のいきなりなのだ。

 背に腹はかえられない…


 五分後…

 ブー、ブー、ブー…

「あ、はい、もしもし…」

「セミスウィートの一泊15万円の部屋なら空いてるってさ…」







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