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シャイニーストッキング
第4章 黒いストッキングの女3 ゆうじ
 67 最後の時間 ⑭

 その3日後、ゆうじは成田からハワイに旅立った、そして私は仕事が休めずに見送りできなかったのだ。
 それが今でも一番悔いが残っている。

 しかしその時は

 たった1ヶ月の辛抱だし、それにこの間に色々決めたりしなくちゃならないし…

 そう思っていたのだ。

 「とりあえず部屋3つ程見つくろっておきましたっス」
 私はさっそく店でノリくんと部屋の相談をする。
 それに暫くぶりに過ごす一人の夜は寂しかったから、毎晩のように店に顔出していた。

 「ありがとう、どれもいいね」
 「いやぁ、新婚さんの部屋だから、真剣に探したっスよ」
 「もう、今更新婚はないわよ」
 でも嬉しかった。

 「ノリくんも年末からハワイ行って合流するんでしょう」
 「あっ、そうっス、ま、合流はしますけどサーフィンはとても一緒にはできないっスよ」
 「そうなの」
 「そうっスよ…」

 冬のハワイの、特に撮影しているノースショアというエリアは世界中で数カ所のエキスパートオンリーな場所で、普通のサーファーがサーフィンできるポイントではないのだそう。
 ノリくんはどちらかというと、今度ゆうじと一緒に立ち上げる正規輸入代理店の会社設立関係の話しで行きながらのハワイ旅行みたいな感じと言っていた。

 「そんなにすごいんだ」
 「チョーやばいっス」
 また、サーファーとしてのゆうじの凄さを知った夜であった。

 彼とはほぼ毎日のようにメールで会話はしていた、ただし時差が19時間程あるので、どちらかというと旅行代理店のパソコンから仕事中にこっそりとメールを交わしていたのだ。
 だから彼のハワイでの日々の出来事はある程度わかる事ができるのだが、やはり夜は少し寂しかった。
 そしてクリスマスから年末年始にかけては寂しさもあり、とうとう実家に帰って過ごすことにしたのである。

 約2年半近く母親とは疎遠になっていたし、その時間がお互いの心をほぐしたのだと思う、母親とは離婚以来久しぶりに仲良く過ごす事が出来たのだ。
 そしてゆうじとの出会いから現在までの事を時間を掛けてゆっくりと話しをした。
 すると母親は喜んでくれ、再婚にも良い理解を示してくれたのだ。

 このときまでは、全ては幸せな、順調な時間の流れの中にいたのであった。



 そしてついに運命の時を迎えることになるのだ…



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