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シャイニーストッキング
第4章 黒いストッキングの女3 ゆうじ
 66 最後の時間 ⑬

 「今度はさ、黒いストッキング穿いてしようよ、前からしたかったんだ…」
 私は滅多な事がない限り黒いストッキングは穿かない。

 確かに以前もそんなこと言ってたかも…

 「じゃあ生理のお詫びに、ハワイから帰ってきたら黒いストッキング穿いてその時たっぷりさせてあげる」
 「マジっ、やったぁ」
 ゆうじはそう嬉しそうに微笑みながら目尻にシワを寄せてくる。
 その笑顔を見てドキッとした。

 そうだ、ゆうじを初めて見た時の、この目尻にシワが寄る笑顔に一目惚れしたんだっけ…

 そしてまるで紺碧の海のような碧い透き通った目に、あの時私の心は震えたのだ。

 「あっそうだ、ノリに色々言ってあるからさ何かあったらいつでも奴に頼みなよ」
 「うんでもたった1ヶ月だし、何も起きないから…」
 彼は微笑みながら頷いた。

 「それよりも、ケガとか体調に気をつけてよ」
 「ああ…」
 また彼の目が碧い目に変わる。
 その時既にその碧い目には、ハワイの大きな波が映っていたのかもしれない。

 「あとそうそう、ノリにもう少し広い部屋頼んだからさ、後で店で色々決めといてよ」
 「えっ」 
 「ハワイから帰ってきたら一緒に住もう」
 「え…」
 私は再び涙を溢れさせてしまう。
 そこまで色々と考えてくれていたゆうじの優しい心に感激していたのである。

 彼は色々考えてないフリをしているだけなのだ、本当は仔細に人の心を想い、細かな気遣いのできる繊細な心の持ち主なのだ…

 「また泣くぅ、泣くなよ」
 「うん…だって…でもぉ…」
 彼の優しさに触れ涙が止まらなかった。
 逆に何も考えていなかった私の鈍感さに呆れてしまっていた。

 「ま、ノリとよく相談しといてよ…」
 そう、ノリくんの親は先祖代々から続くこの辺りの大地主で、貸しビルや賃貸マンションを数戸所有しているのだ、今いるこのマンションも、私の住んでるマンションも、そして働いている旅行代理店の賃貸ビルもみんなノリくんの親が持っているのである。

 「ごめんね、私何も考えてなくて…」
 「いや、こっちこそ相談もしてなくて悪かった」
 その言葉の優しさに涙はますます止まらなくなってしまう。

 「ありがとう…」
 私はそんなゆうじの優しさに包まれていた。

 そしてこの夜がゆうじとの最後の逢瀬であったのだ…




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