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シャイニーストッキング
第4章 黒いストッキングの女3 ゆうじ
68 運命の時 1995年1月17日5時46分52秒
1995年1月15日
『神戸のばあちゃんの体調が悪いみたいだから、関西空港直行便で帰国して直接向こうに寄ってみる。東京に帰るのは19日予定』
これがゆうじと交わした最後のメールである。
「美冴さんっ、テレビ、テレビつけて見てくださいっス」
1995年1月17日の午前7時過ぎにノリくんから電話が掛かってきた。
「えっ…」
私はその電話でテレビをつけて絶句する。
そして全身から血の気が引いていくのがわかった。
1995年1月17日午前5時46分52秒
阪神淡路大震災が発生したのだ…
その当時、この時間のテレビ報道ではまだ全容は掴めてはいなかった。
ただここ何十年と経験したことのない程の大地震が発生し、阪神淡路地方に甚大な被害が起きているらしい事しかまだ分かってはいなかったのだ。
その段階でのテレビではようやくヘリコプターが神戸市辺りの上空から、何カ所から黒い火災の煙が立ち上っているのが映っているだけであった。
「ゆうじさん確か神戸の…」
そう、神戸のおばあちゃん家に寄っているはずなのだ。
「確か…19日に帰るって…」
「ばあちゃん家って、どこっスかっ」
「ええっ、ちゃんと聞いてないっ、ええと……確か…下町で…もう家が古くなってて……って…」
「そうっスよね、ばあちゃん家なんて普通わかんないスよねぇ…」
さすがに住所までは聞いてはいなかった。
「とりあえず出来るだけ調べてみるっス」
私はすぐにゆうじの携帯電話に掛けてみるが、全く繫がらない。
テレビでも通信網が全く遮断されてしまっていると報道している。
心臓がドキドキと激しく鼓動をしているのが聞こえてくるようであった。
ふと見ると、彼に貰った脚首のアンクレットが、片方の脚で引っ掛けてしまったのか切れている。
まさか、そんなこと…
切れたアンクレットに不吉な想いが湧いてきていた。
まさか、まさか…
そして時間の経過と共に徐々に被害の凄まじさが報道されてきていた。
だが、こっちからは全く携帯電話も繫がらず、いや、それどころか何も分からないのである。
ただ唯一分かっていることはゆうじが間違いなく神戸のおばあちゃん家に行っているという事だけであったのだ…
1995年1月15日
『神戸のばあちゃんの体調が悪いみたいだから、関西空港直行便で帰国して直接向こうに寄ってみる。東京に帰るのは19日予定』
これがゆうじと交わした最後のメールである。
「美冴さんっ、テレビ、テレビつけて見てくださいっス」
1995年1月17日の午前7時過ぎにノリくんから電話が掛かってきた。
「えっ…」
私はその電話でテレビをつけて絶句する。
そして全身から血の気が引いていくのがわかった。
1995年1月17日午前5時46分52秒
阪神淡路大震災が発生したのだ…
その当時、この時間のテレビ報道ではまだ全容は掴めてはいなかった。
ただここ何十年と経験したことのない程の大地震が発生し、阪神淡路地方に甚大な被害が起きているらしい事しかまだ分かってはいなかったのだ。
その段階でのテレビではようやくヘリコプターが神戸市辺りの上空から、何カ所から黒い火災の煙が立ち上っているのが映っているだけであった。
「ゆうじさん確か神戸の…」
そう、神戸のおばあちゃん家に寄っているはずなのだ。
「確か…19日に帰るって…」
「ばあちゃん家って、どこっスかっ」
「ええっ、ちゃんと聞いてないっ、ええと……確か…下町で…もう家が古くなってて……って…」
「そうっスよね、ばあちゃん家なんて普通わかんないスよねぇ…」
さすがに住所までは聞いてはいなかった。
「とりあえず出来るだけ調べてみるっス」
私はすぐにゆうじの携帯電話に掛けてみるが、全く繫がらない。
テレビでも通信網が全く遮断されてしまっていると報道している。
心臓がドキドキと激しく鼓動をしているのが聞こえてくるようであった。
ふと見ると、彼に貰った脚首のアンクレットが、片方の脚で引っ掛けてしまったのか切れている。
まさか、そんなこと…
切れたアンクレットに不吉な想いが湧いてきていた。
まさか、まさか…
そして時間の経過と共に徐々に被害の凄まじさが報道されてきていた。
だが、こっちからは全く携帯電話も繫がらず、いや、それどころか何も分からないのである。
ただ唯一分かっていることはゆうじが間違いなく神戸のおばあちゃん家に行っているという事だけであったのだ…