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シャイニーストッキング
第5章 黒いストッキングの女4 部長大原浩一
1 確信のない自信
破綻寸前の某有名な生命保険会社を本社で吸収合併し、直属の先輩であり本社でイケイケのやり手急上昇中の山崎専務に指名されて、私はその業務の殆どを担う新たな責任者としての本部長と、その吸収合併する生命保険会社の執行役員という役職を確約された。
そして私自身も本社の山崎専務派の一員であると、今や本社内では周知の事実として認められていたのだ。
事実、このM&A的な吸収合併を仕掛けたのがこの山崎専務の手腕によるものであり、これが成功なのか失敗なのかは全てこの保険会社のこれからの収益アップに懸かっていると言って過言ではなかった。
そしてその運営に白羽の矢が立ったのが、三人抜きの出世のカタチとなった私、大原であったのだ。
しかし成功させて当たり前、しくじったら転落という、正に崖っぷちに立っているともいえたのである。
プレッシャーは半端なくあった。
だが3年前の離婚の経緯から昔のようなガチガチの出世欲はなくなり、たまたま山崎専務の直属の後輩であったという流れからの三人抜きの出世というカタチなので、元々が楽観的な性格のせいもあり、逆に開き直りに近い
成るようになるさ、ダメなら落ちるだけさ…
という、ある意味達観した心境になっていたのだ。
あともうひとつ、なぜか確信はないのだが、自信もあったのである。
確信のない自信…
多分それは、今、私の腕の中で微睡んでいるこの部下であり、最愛の女である、この課長の佐々木ゆかりの存在によるモノからきている確信のない、そして根拠もない、不思議な自信から生み出されているのかもしれなかった。
なぜか
彼女に任せれば大丈夫…
と、思えてしまうのだ。
とにかく、何がなんでも、これから吸収合併し子会社化する保険会社の収益のアップがこの先の至上命題となるのである。
カチャ、シュポッ
「ふうう…」
「……あ…」
なぜかこうして煙草に火を点けると、いつも彼女は目覚める。
「煙草臭かったか…」
「………」
彼女は黙って首を振る。
「あの…仕事の話しを…」
話しをしていいか…と、目で問いかけた。
「うん…」
「人事の書類見たか?」
彼女は頷く。
「どう…」
「書類だけじゃわからないかも…ただ…」
ただ、皆、学歴はすごいね…
と、そう言ってきた…
破綻寸前の某有名な生命保険会社を本社で吸収合併し、直属の先輩であり本社でイケイケのやり手急上昇中の山崎専務に指名されて、私はその業務の殆どを担う新たな責任者としての本部長と、その吸収合併する生命保険会社の執行役員という役職を確約された。
そして私自身も本社の山崎専務派の一員であると、今や本社内では周知の事実として認められていたのだ。
事実、このM&A的な吸収合併を仕掛けたのがこの山崎専務の手腕によるものであり、これが成功なのか失敗なのかは全てこの保険会社のこれからの収益アップに懸かっていると言って過言ではなかった。
そしてその運営に白羽の矢が立ったのが、三人抜きの出世のカタチとなった私、大原であったのだ。
しかし成功させて当たり前、しくじったら転落という、正に崖っぷちに立っているともいえたのである。
プレッシャーは半端なくあった。
だが3年前の離婚の経緯から昔のようなガチガチの出世欲はなくなり、たまたま山崎専務の直属の後輩であったという流れからの三人抜きの出世というカタチなので、元々が楽観的な性格のせいもあり、逆に開き直りに近い
成るようになるさ、ダメなら落ちるだけさ…
という、ある意味達観した心境になっていたのだ。
あともうひとつ、なぜか確信はないのだが、自信もあったのである。
確信のない自信…
多分それは、今、私の腕の中で微睡んでいるこの部下であり、最愛の女である、この課長の佐々木ゆかりの存在によるモノからきている確信のない、そして根拠もない、不思議な自信から生み出されているのかもしれなかった。
なぜか
彼女に任せれば大丈夫…
と、思えてしまうのだ。
とにかく、何がなんでも、これから吸収合併し子会社化する保険会社の収益のアップがこの先の至上命題となるのである。
カチャ、シュポッ
「ふうう…」
「……あ…」
なぜかこうして煙草に火を点けると、いつも彼女は目覚める。
「煙草臭かったか…」
「………」
彼女は黙って首を振る。
「あの…仕事の話しを…」
話しをしていいか…と、目で問いかけた。
「うん…」
「人事の書類見たか?」
彼女は頷く。
「どう…」
「書類だけじゃわからないかも…ただ…」
ただ、皆、学歴はすごいね…
と、そう言ってきた…