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シャイニーストッキング
第18章 もつれるストッキング2      佐々木ゆかり
 120 朝の会話

 また再び心とカラダが昂ぶり疼いてきていた…

「あ、そうだ、ゆかりさんいつも何時頃に出るんですか?」
 
 は…

「え、あ、う、うん」
 だが、そんなわたしの心の揺らぎをよそに敦子は本当に爽やかな笑顔を浮かべながら訊いてくる。

「あ、うん、いつもは7時ちょっと過ぎにタクシーに乗るのよ」
 わたしはまだ少し揺らぎながらそう応えた。

「え、タクシーなんですか?
 あ、それに7時ちょっと過ぎって、もう少しじゃないですかぁ」
 と、彼女は驚いた感じの声を出す。

「う、うん、そうタクシーなの、会社からタクシーチケット貰っているし…
 もう何度も満員電車で痴漢に遭っちゃってるから…」
 そうなのだ…
 わたしはあの満員電車の人いきれと、そしてかなりの高確率で遭遇する痴漢に辟易していたのである。

「少し贅沢なんだけどね、タクシーチケットあるしさぁ」

「うわぁ、さすが部長兼室長になるとタクチケ支給されるんですねぇ、凄いなぁ…
 それにあの痴漢は本当に嫌ですよねぇ」
「うん」
「え、でも、もう6時50分になりますよ、支度間に合うんですか?」
 敦子は時計を見て慌ててそう言ってくる。

「え、あ、うん、わたしいつも殆ど化粧しないから」
「えぇ、そうなんですかぁ、ま、わたしもなんですけどね」

「うん、眉描いて、軽くルージュで済ます事が多いかなぁ」
 もちろん営業とかで外に出る時は、その時に化粧をするのだが、基本的には眉と目元とルージュだけが多いのだ。

「じゃ、敦子も一緒にタクシーで出勤しようよ」
「ええっ、そ、そんな贅沢なっ」

「いいわよ、一緒に住むんだし、ただタクシーの方が時間掛かるから早く出ちゃう事になるけどね」

 そうなのだ、ウチは出勤時間は朝8時半…
 電車ならばここから約40分なのだが、タクシーだとなんだかんだで1時間弱掛かるのだ。

「うーん、でも、お言葉に甘えちゃおうかなぁ」
 と、敦子は嬉しそうに言い…

「じゃぁ、急いで準備しちゃいますねぇ」
 と、慌てて着替えに部屋に向かう。

 そしてわたし達は急ぎ支度を整え、タクシーに乗り込んだのだ。

 これからはこんな毎日、毎朝を迎えるのだろうか?…
 わたしはタクシーの座席に座りながらそう思う。
 
 そしていつの間にか、さっきまでの昂ぶる疼きも治まっていた…




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