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シャイニーストッキング
第19章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一
 77 秘書 松下律子(5)

「自分がこのお誘いをふたつ返事で受けたのはね……」
 いよいよ彼、青山一也が本当の顔を覗かせてきた。

「ひとつはもちろん本社に返り咲きしたいっていう理由とですね…」
 彼はそう言いながら、わたしの顔を見つめ…

「もうひとつは… 
 アナタ…松下さんですよ…」
 その目をキラりと輝かせて言ってくる。

「え、わたしですか?」

「はい、アナタの美人さに心が揺れ動いたからです」
 
「え……ふ…………」
 わたしはそをな彼のその、まるでいかにもナンパ師みたいな軽口に呆れてしまう、いや、逆に、呆れを通り越して笑ってしまった。

「あ、マジですよ、マジですから、そんな笑わないでくださいよ」
 と、彼はわたしのそんな反応に慌てて食いついてくる。

「え…だって…
 何をそんなバカな事を…」
 そう、あまりにも軽々しく、バカな話しといえる。

「ええ、そんなぁ、マジですよ、マジにそう思ったんですから」

「……………」
 呆れてしまい、応えようがなかった。

「いや、だって、えっちゃんから聞いていたせいもあったし…
 じゃぁ、どれほどの美人さんなんだかって思っていたら……………」

 ……予想を遥かに超えていたから………
 と、彼は言ってきた。

 そして…
「ぜひ、こんな美人さんと一緒に仕事をしたい、大原常務と仕事をしていきたい…って、本当に思ったんですよ」
 その言葉の中身は余りにも軽々しい、そしてよくあるナンパの口説き言葉の常套句といえるのであるが…
 意外にも彼の目は真剣な光を帯びている様に見える。

「ええ、そんな軽い、軽々しい言葉を並べられてもぉ…
 なんか信憑性っていうかぁ……」
 果たして真剣なのか、ウソなのか、判断が付きにくい。

「だって極端な話し、資産運用の運営や株式トレーディングなんてその気になれば今の時代、どこでも、つまりは本社じゃなくたってこの新潟支社でだって出来ますよ」

「あ、はい、それは…」
 それは分かる…
 確かに何処に居たってその気になれば出来る時代になったから。

「でしょう、そうなんですよ、それにまた都内に引っ越すのも面倒だし、こっちは食いもんも酒も美味いしね…」

 確かにそうかもしれない…

「だけどこうしてふたつ返事の即答した理由のひとつは、本社待遇の色気とそしてもうひとつは…」
 

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