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シャイニーストッキング
第19章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一
 92 秘書 松下律子(20)

「じゃ、ギリギリまで頑張りますよ」

 ホントに諦めの悪いヤツ…

 だけど不快では無い、いや、今夜の一人待ちぼうけといえるこの時間の相手としては最高に楽しいといえるかもしれない。

「メインのアクアパッツァでございます」
 メインが運ばれてきた…
 そしてまだディナーの時間は続く。

「あ、それヤバいです、ホントにヤバいくらいに美味しいですから…
 都内でだって食べた事の無いくらいの美味しさですよ」

「え、そうなの?」
 わたしはその言葉にドキドキ高鳴りながら、口に運ぶ…

「う、うわ、本当だわ、美味しい……」
 そう、本当に美味しい…
 後に言葉が出ないほどに美味しくて、そしてホントに都内でも食べた事がないくらいである。

 するとお水を運んできたギャルソンが…
「これはウチのシェフの代表作でして、そしてこの新潟の海の幸でしか出せない味なんですよ」
 と、笑みを浮かべながら話してきた。

「本当ですね…こんなに美味しいのは初めてです」

「ありがとうございます、シェフにも伝えておきますね」

「は、はい、ぜひ、よろしくお伝えください」

「はい、かしこまりました」
 ギャルソンは一礼し、下がっていく。

「そうでしょう、最高でしょう」
 青山一也は、まるで自分が褒められたかの様な笑みを浮かべながらそう言ってくる。

「本当ね、わたしイタリアンは好きなんで都内の有名店色々と食べ歩いたんですけど…
 これほどとは…」

「これだけでも新潟に来て良かったですね」

「え、あ、う、うん…」
 いや、あくまでも仕事上の、出張で、
それにやっぱり、せっかくだから彼、大原常務と一緒に食べたかったのだが…

「あっ、松下さん、今、せっかくだから彼氏と来たかったって思ったでしょう?」

「えっ、い、いや、そ、それは…」
 彼に、その想いのズバリを突かれてしまい、わたしは一瞬にして焦ってしまう。

「あぁ、ほらぁ、やっぱり、そう思ったんですねぇ」

「え、い、いや、違いますよ、違うから…
 第一、彼氏なんていないしっ」
 わたしは必死に、そして咄嗟にそう答えた。

「ええ、ウソ、ウソですよ、松下さんに彼氏がいないなんてあり得ないしぃ」
 そしてまた彼は、このわたしの一瞬の動揺の隙を突いて攻めてくる。



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