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第20章 もつれるストッキング4　　　　　律子とゆかり

　30　リビングからの夜景

「きゃぁぁぁぁぁ………
　な、なんなんですかぁ、この夜景はぁぁぁぁ………」
　これが越前屋さんの我が家のリビングの窓から、外を見た瞬間の第一声の声であった。

「うわ、もぉ、それは暴漢に襲われた悲鳴じゃん」
　そんな越前屋さんの感嘆の叫びを聞いて伊藤さんは、すかさずそうツッコミを入れる。

「えーっ、だってぇあっちん…
　この夜景はぁ、凄すぎでしょう…」
　越前屋さんはリビングの窓に張り付く様に顔を押し付けてそう言ってきた。

「あ、まぁ、わたしも昨夜、この夜景を見た瞬間にはそう思ったけどぉ…
　でも、えつのはもぉ悲鳴そのものよ」
　と、伊藤さんはやや呆れた感じでそう返す。

「えー、だって、だってぇ、まさかぁ、これほどとは思ってなかったんだもん」

「もぉ、本当に越前屋さんは楽しい人ね」
　わたしはそう呟く。

「ええ、でもぉ、ここまでとはぁ…」

「うんこの前、美冴さんもそう驚いてはいたけどさぁ」
　確かに美冴さんも驚きの悲鳴に近い声を漏らしてはいた。

「ですよねぇ…」
　越前屋さんはそう呟きながら、まだ窓に貼り付き、夜景を眺めている。

「ま、気が済むまで眺めてればぁ」
　と、伊藤さんはそう言いながら買って来た荷物を抱え、リビングの奥の自分の部屋へと向かう。

「あぁ、あっちん待ってよぉ」
　すると越前屋さんは慌てて、自分の荷物を抱え直し伊藤さんの後を追いながら部屋に入った。

「えぇっ、な、なにぃ」
　と、部屋に入るなり、今度はそんな声を上げてくる。

「もぉなによ、いちいちうるさいなぁ」
　そう伊藤さんが言うと…
「えぇ、だってぇあっちん、この部屋があまりにも広いからぁ」
　今度は、伊藤さんの部屋の広さに驚いているようであった。

　それはそうであろう…
　部屋は10畳あり、ましてや荷物等は無くてガランとしているからよけいに広く見えるであろうから。

「え、あ、うん、ゆかり室長がね、この部屋でいいって言ってくれたからさぁ」
　そう伊藤さんの声が聞こえてくる。

「うわぁ、きゃぁぁぁぁぁ…
　この部屋からも夜景がぁぁ…」
　それもそう…
　だってリビングの続きの並びの部屋なのだから。

「もぉぉ、わたしも一緒に住むぅ…」

　本当に越前屋さんは明るくて朗らかで楽しい…