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シャイニーストッキング
第20章 もつれるストッキング4     律子とゆかり
 50 朝…

「……すぅ…おぉ………」


「……ますぅ…おぉ……」
 遠くから、微かに遠くから、心地よい声が聞こえてくる。


「…おはよう…ますぅ…」

「…ゆかりぃ…ちょぉぉ…」

 心を和ませる…

「おはようございますぅ…
 ゆかりしつちょぉ………
 おはようございますゆかり室長ぉ」

「…ん…ん、ぁぁ……」

 その声は、わたしにとっての心地よい声音…

「朝ですよぉゆかり室長ぉ、起きてくださぁぁい…」

「…んん…え…あぁ……」

 朝ですよって?
 わたしはその心を和ませてくれる心地よいいつも明るく元気な越前屋さんのその声に、ハッと目を開ける。

「え…んん…あ、朝って?…」

「もぉゆかり室長朝ですぅ起きてくださぁい…」
 すると…
 その開けた目の前に満面に笑みを浮かべた越前屋さんの顔が飛び込んできた。

「え、あ、朝なの?」
 そしてはそう呟き、慌ててカラダを起こし、まだ覚醒しきっていない意識を必死に奮い立たせながら枕元の時計を見る。

 午前6時30分…

「はい朝ですよぉ、お仕事ですよぉ」 
「う、うん…あっ」
 そしてようやく少しずつ覚醒してきた瞬間、一気に昨夜の記憶が蘇り…
 慌てた声を漏らしてしまう。

 た、確か昨夜は…
 慌てて起こした上半身を見る。

「あっ、えっ?」
 
「もぉ、どおしたんですかぁ?」
 越前屋さんはそんなわたしの慌てた挙動不審な動きを見て、そう訊いてきた。

「あ、い、いや、うん…ち、違うの…」
 裸だと思って慌てたのだが…
 どうやら敦子がTシャツを着せてくれていたようなのである。

「もぉ、昨夜飲み過ぎですかぁ?」
 越前屋さんは笑みを浮かべ…
「あっちんが朝ごはん作って待ってますからぁ…」
 そしてそう言ってきた。

「あっ…」
 わたしは越前屋さんのその『あっちん』というコトバに…
 一気に意識が覚醒をし、脳裏いっぱいに昨夜の逢瀬を、いや違う、情事という表現がぴったりな昨夜のあの禁断のビアンの情景が蘇り、浮かんできたのである。

「さぁ、早くぅ起きてきてくださいねぇ…」
 そして越前屋さんはそう言って部屋を出て行く。

 ザワザワザワザワ…
 すると一気に心が騒めき…

 ドキドキドキドキ…
 胸が高鳴り…

 そして…
 ズキズキズキズキ…
 と、オンナの奥深くの昂ぶりが疼いてきた。


 
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