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シャイニーストッキング
第20章 もつれるストッキング4       律子とゆかり
 174 律子の存在感の大きさ

「お待ちどうさまです…」
 そんな騒めきの思いを脳裏で逡巡していると、ステーキコースの料理が運ばれてきた。

「さぁ入江くん、遠慮なく食べてくれ」

「はい、いただきます」
 入江くんはにこやかにそう応え、飲み、食べ始める。

 その様子、雰囲気を察するに、どうやら彼には本当にウラ的な…
 つまりは、山崎専務との陰の繋がりは無いように伺える。

 そしてつまりそれは…
 新たな、私の片腕の存在になり得るという意味でもあるのだ。

 それにどうやら入江くんもストッキングフェチの類いとも感じられ…
 ささやかなシンパシーさえ感じてもいた。

「でもぉ本当に松下秘書はヤバいですねぇ…」
 食事をしながらも入江くんは律子推しの話しを続けてくる…
 どうやらかなり律子の事を気に入ったようである。

「いいなぁ…
 大原常務が羨ましいなぁ…」
 私はもう、入江くんのそんな言葉は軽く受け流していく…
 それよりも、もっと入江くんの素性が知りたくなっていた。

 それにこれは律子を使えば簡単に懐に呼び込められそうだ...
 という確信をも持った。

 そして同時に、ますます律子の存在感を、いや、存在感の大きさを否が応でも感じる事にもなり…
 また再び、脳裏に律子が浮かび、いや、不意にさっきの律子の妖艶な痴態の姿が浮かび上がってきたのである。

 あのまま、この入江くんの電話が無かったら、あの時の律子は…
 あの先の律子の変化は、いったいどうなっていたのだろうか?

 あの時の律子の様子は、確実にいつもと、いや、ナニかが違っていた…
 まるで自分自身の内なるナニかが壊れそう、いいや、もしかしたら壊そうとしていた様にも感じられた。

 本当にもしかしたら…
 ナニかが壊れ、そして新しい律子という存在が生まれたのかもしれないな。

 私はこの明るい入江くんの律子推しの話しを流し聞きながら…
 心の中でそんな律子の事を、そしてチラと蒼井美冴の存在感を…
 また、さっきのゆかりの揺らぎの様子等々を自分自身の心を騒めきさせながら…

 そうも考えていた…



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