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シャイニーストッキング
第20章 もつれるストッキング4       律子とゆかり
 188 扉を開く…

「でもぉ、松下さんのその若さと、美しさと、その脚線美にはかなわないかもぉ」
 と、わたしを見つめながら田中課長はそう囁いてきた。

「そうかもですねぇ…」
 そしてわたしは、その言葉がスッと出た事に内心驚いてしまう…
 いや、これが本当のわたしなんだ。

 今、正に女盛りといえる28歳…
 元モデルという自分の美貌への自負と自信…
 そして、彼の心を、いや、フェチ心を魅了し、ガッチリとその嗜好を掴んでいるこの魅惑のストッキング脚の脚線美という己の絶対的な自信からのこの自己顕示欲…

 これが本当のわたし…
 本当の松下律子というオンナ、女である。

「でも、今日、着替えたわよね?」
「あ、はい、実はさっきコーヒーを溢してしまってぇ」
「そうよね、さっき秘書課のテーブルに座っている時に朝と違うなぁって思ったのよぉ」
「はい、そうなんですよぉ…」

「でもぉ、その服…
 白いブラウスに黒いタイト気味なスカートに、そしてぇ、そのキレイな黒ストッキング脚…
 なんかぁ、正に秘書っていう服装でぇ…
 世の中のオトコ達がモロ大好きそうでぇ…
 それにぃ…」

 そう言いながら田中課長はなんとなく目を…

「なんとなくぅ、少しぃ、エッチっぽいわぁ」
 と、目を、いやらしい感じの目に輝かせながら言ってきた。

 そう、本当のわたしは
 自我が強く…
 独占欲が強く…
 承認欲求が強く…
 自己顕示欲が強く…
 淫乱で淫靡な性欲が強い…
 
 こんなイヤなオンナ、女なんだ。

 そのイヤな、嫌みなオンナ、女が…

 この同僚であり上司である彼女とのたわいもないのであるのだが、このわたしにとっては初めての経験といえる今夜の楽しいこの女子会的なトークによる心の軽やかさ、高ぶり、昂ぶりが、昼間の佐々木ゆかりとの対峙によって感じた嫉妬心から心の動揺と揺らぎの衝撃、そして衝動的な禁断のセックスによる快感と絶頂感の疼きの余韻等々と相まり、それらの刺激により…

 ゆっくりと心の扉を開いて顔を出し、露に、顕れ、現れ始めてきていた。

 そう、そんな本当のわたしが…

 ゆっくりと顔を出し、心を支配し始めてきていた…

 
 

 
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