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シャイニーストッキング
第20章 もつれるストッキング4       律子とゆかり
 194 帰りのタクシー(6)

「で、それでぇ?…」
 美冴さんが軽く促すと…

「あ、は、はい…
 でぇ、わたしぃ、なんかぁ、急にぃ、ドキドキしてきちゃってぇ…」
 心なしか越前屋さんの顔が赤らんできていた。

「うん、うん、で?」
 完全にからかいモードに入ってしまったであろう美冴さんは、必死に笑いを押し殺し、相槌を打ち続ける。
 
「な、なんでぇ、あ、いや、わたしの勘違いじゃなければぁ、本当にぃ、ずうっとぉ見つめてきていてぇ…」

 確かに、さっき、彼、大原常務が、越前屋さんの事をずうっと見つめていた事には気付いてはいた…
 それはおそらく、自分の後ろめたさからの思いのせいでわたしの方には、いや、この美冴さんの方さえにも向いてはいなかった。
 それはきっと、美冴さんにでさえ、ううん、彼は既に美冴さんの聡明さを理解しているからこそ、彼女に自分自身の動揺等の己の揺らぎ、不惑さの全てを見透かされている様に感じてもいたのであろう…
 だから、とてもわたしと美冴さんの二人の顔に、顔を向けるどころか目をも合わせる事ができなかったのであろう、いや、間違いない。

 そんな不惑さから彼にしたらその目のやり場が、この可愛く、純真無垢を絵に描いた様な、明るい越前屋さん以外にしかなかった筈であったから…

「あ、うん、でもそうかもねぇ…
 確かにさっき、わたしも殆ど大原常務と目が合った記憶がないわぁ…
 それにねぇ、ゆかりさんも…」
 美冴さんは笑いを押し殺し、そう真摯なフリをして越前屋さんに返し、そしてわたしにも振ってきた…
 わたしはこんな明るい美冴さんの姿を初めて見た。

 あの美冴さんが…
 あの『黒い女』とまで周りから云われていた美冴さんが、こんな明るい笑顔を見せてくる。

 そのことにより、わたしのさっきまで揺れに揺らいでいた心の不惑な想いが薄らぎ…
 心、気持ちが軽くなってきていた。

 この越前屋さんの明るいキャラ…
 そして意外な美冴さんのこの姿…

 あ、いや、この姿こそが、本当の、元々の、あるべき本来の美冴さんという姿なのかもしれない…

「それにねぇ、そういえばさぁ、ゆかりさんにも殆ど目を向けていなかったわよねぇ…」
 
 ううん、この明るいキャラの、いや、聡明な優しさのこの雰囲気が…
 本来の、真の蒼井美冴という女の姿なのだと思う。




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