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シャイニーストッキング
第21章 もつれるストッキング5 美冴
12 『カフェバー波道』
「いらっしゃいませ…あ、美冴さん…」
アイビーの蔦が絡まる、やや色褪せた木製のドアを開けて店に入る。
あ…ゆうじの匂いだ…
そうゆうじの匂い…
それは、店内に微かに漂う、甘いムスクの香り。
「あれ、ノリくんは?」
わたしは応対してくれているバイトのヒロくんに、オーナーであるノリくんを尋ねた。
「あ、ノリさんは今夜はあのブランドのミーティングに行ってます」
「あ……そ、そう…」
あのブランド…
それは亡くなる直前のゆうじが、周りから求められ、認められ作ったサーフファッションのオリジナルブランド『Ga´s Y.M.S』(ガーズワイエムエス)の事である。
わたしはこのヒロくんの何気ない一言により……
いきなり、ゆうじの存在感という不思議な想いを実感してしまう。
うん、やっぱりゆうじは居る…
わたしを呼んでくれたんだ…
そしてゆうじの愛したレゲエの調べと、微かに漂う甘いムスクの香りに包まれ…
より強く、ゆうじの魂の存在感を感じていた。
「さぁ、いつもの席に…」
そしてわたしは、昔からのいつものカウンターの右端の壁際の席に座る。
この席はいつ来ても空いている…
いや、きっとゆうじが空けてくれているのだと思う。
そして昔からわたしとゆうじを知り、色々と助けてくれているノリくんが不在だということに…
逆になんとなく、今夜のわたしにはちょうど良い感じがした。
そう…
今夜は、一人、静かに…
ゆうじの気配に浸りたいから………
「美冴さん、いつもの…でいいですか?」
「うん、ありがとう、お願い…」
いつもの…
いつものカクテル…
それはゆうじが初めに奨めてくれた、ほんのり甘く、スッキリとした味わいのカクテル。
『俺みたいな味だろう…』
海の碧さを感じさせる透明な目で、そう云ってきた。
そしてわたしは、その目の碧さに一目惚れしたんだ…
「いらっしゃいませ…」
他のお客様が来店しても、この店は静かで心地よい。
ゆっくりとゆうじの愛に浸って…
心を洗い流してもらって…
リセットして…
また、明日から頑張ろう。
だって、せっかく…
『黒い女』から戻ったんだから…
明日からは、また、健太を愛すのだから…
だから、今夜だけは、ゆうじに浸りたい…
「いらっしゃいませ…あ、美冴さん…」
アイビーの蔦が絡まる、やや色褪せた木製のドアを開けて店に入る。
あ…ゆうじの匂いだ…
そうゆうじの匂い…
それは、店内に微かに漂う、甘いムスクの香り。
「あれ、ノリくんは?」
わたしは応対してくれているバイトのヒロくんに、オーナーであるノリくんを尋ねた。
「あ、ノリさんは今夜はあのブランドのミーティングに行ってます」
「あ……そ、そう…」
あのブランド…
それは亡くなる直前のゆうじが、周りから求められ、認められ作ったサーフファッションのオリジナルブランド『Ga´s Y.M.S』(ガーズワイエムエス)の事である。
わたしはこのヒロくんの何気ない一言により……
いきなり、ゆうじの存在感という不思議な想いを実感してしまう。
うん、やっぱりゆうじは居る…
わたしを呼んでくれたんだ…
そしてゆうじの愛したレゲエの調べと、微かに漂う甘いムスクの香りに包まれ…
より強く、ゆうじの魂の存在感を感じていた。
「さぁ、いつもの席に…」
そしてわたしは、昔からのいつものカウンターの右端の壁際の席に座る。
この席はいつ来ても空いている…
いや、きっとゆうじが空けてくれているのだと思う。
そして昔からわたしとゆうじを知り、色々と助けてくれているノリくんが不在だということに…
逆になんとなく、今夜のわたしにはちょうど良い感じがした。
そう…
今夜は、一人、静かに…
ゆうじの気配に浸りたいから………
「美冴さん、いつもの…でいいですか?」
「うん、ありがとう、お願い…」
いつもの…
いつものカクテル…
それはゆうじが初めに奨めてくれた、ほんのり甘く、スッキリとした味わいのカクテル。
『俺みたいな味だろう…』
海の碧さを感じさせる透明な目で、そう云ってきた。
そしてわたしは、その目の碧さに一目惚れしたんだ…
「いらっしゃいませ…」
他のお客様が来店しても、この店は静かで心地よい。
ゆっくりとゆうじの愛に浸って…
心を洗い流してもらって…
リセットして…
また、明日から頑張ろう。
だって、せっかく…
『黒い女』から戻ったんだから…
明日からは、また、健太を愛すのだから…
だから、今夜だけは、ゆうじに浸りたい…

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