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シャイニーストッキング
第23章 ほつれるストッキング2       蒼井美冴と松下律子
 13 松下律子(7)

『沢村悠司 追悼コーナー』
 わたしは、その角の展示物を見る。

『沢村悠司(享年36歳)
 1995年阪神淡路大震災で死去
 日本No.1のトップアマチュアサーファー
 Ga’s ymsブランド創始者
 元『波道』共同経営者 』
 その展示コーナーには、そうプロフィールが書いてあった。
 そしてそのブランドロゴのT シャツが飾ってあり、サーフボードが壁に飾られ、彼の掲載されている数冊のサーフィン雑誌が置かれ、その回りには数々のスナップ写真が掲示されていた。

「ふぅん…」
 わたし自身、サーフィンという類いには、ほぼ関わりはないのであるが、このブランドロゴのTシャツは知っていた。

 確か、何枚かは持ってるなぁ…
 あ、モデル時代に着たこともあったかも…
 そんな事を思いながら、スナップ写真を眺めていく。

 楽しそうに仲間達や、ここのマスターも写っている写真の数々が…
 きっと皆に好かれ、人気者だったんだろう、満面の笑みを浮かべたスナップ写真ばかりが並んでいる…

「あら…」
 そして、キレイな、おそらくは彼女であろうツーショットの写真も数枚…

「え、あ、えぇ?」
 わたしはその写真を見て、急に心が高鳴りを覚えた。

 だって…

「あ、それ、わたし……」

「え?」
 不意に後ろから、美冴さんのそんな声が聞こえた。

「ゆうじはわたしの彼だったの…」

「え…」
 その声に振り向くと…
 穏やかな目の奥に、淡い憂いを宿した美冴さんが立っていた。

「それはわたしとゆうじの写真…」

「え、あ、そうなん…ですか」

「うん…もう二年半になるのかな…」

「………」

『わたしの大切なお店なの…』
 この時、その美冴さんの言葉の意味の合点がいった。

 大切な思い出の詰まった…お店、場所…
 それが、この『波道』なんだわ。

「うん、ま、そんな感じよ」
 美冴さんの目の憂いの色が、濃くなって見える。

「………」
 どう返してよいかわからない。

 そして、なんとなく違和感も…

「え、あ、あれ?」
 だけど、すぐに、その違和感に気がついた。

「あ、う、うん…」
 それは…
 美冴さんが、黒いストッキングに穿き変えていたからーー

「うん、この『波道』では…
 黒いストッキングを穿く事に決めてるのよ…」
 そう言ってきた。


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