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シャイニーストッキング
第23章 ほつれるストッキング2 蒼井美冴と松下律子
15 蒼井美冴(8)
「ゆうじがね…
黒いストッキングが大好きだったのよ…」
わたしは、そう言った。
だって、きっと…
松下さんなら、わかる筈だからーー
「え…」
「………」
わたしは、松下さんの目を見つめ、黙って頷く。
そして脳裏には…
『ハワイから帰ってきたらさぁ、黒ストッキングを穿いてあげるから…』
あの、ゆうじとの最後の会話が甦り、脳裏に巡ってきていた。
『うわっ、マジかぁっ、楽しみだぁ』
ーーだから、わたしは、ここ『波道』を訪れる時には、必ず、黒いストッキングを穿く様にしているーー
ゆうじの為に…
そして、それが『黒い女』からの卒業の証の為にもーー
「………え、そ、そうなんですか?」
松下さんは、少し間を開けて、そう呟く。
「うん……そうなの……」
そしてわたしは…
『アナタならわかるでしょう』
という意を込め、頷いた。
「あ……そ、そうかぁ……」
どうやら、通じたみたいな呟き。
カラン、カラン…
「ノリさん、チィーっす」
その時…
ドアベルが続けて鳴り響き、ガヤガヤと、サーファーの男の子達数人が来店してきた。
「おう、いらっしゃい、奥へどうぞぉ」
そしてノリくんの案内の声が、その来客を奥の席へと導く。
「さぁ、松下さん、席に戻りましょう」
「あ、はい…」
ゆうじのスペースの奥の席へと、彼らが導かれたので、わたしと松下さんはカウンター席へと戻る。
「ふぅ、ま、そんな事なのよ」
わたしは席に座りながら、左隣に座る松下さんに、そう言った。
「あ、は、はい…でも、あの写真の美冴さん幸せそう……あっ…」
松下さんにはそう言って、慌てて口を閉じる。
それはもう、ゆうじが亡くなっているという意味からの、自分の失言的な慌てぶりの所作…
「あ、ご、ごめんなさい…」
そしてまた、それは松下さんの優しさ。
「うん、いいのよ…
もう、乗り越えられたから…」
それが『黒い女』からの卒業の証ーー
「乗り越えられた?」
「うん、ようやく、なんとかね…」
「そ、そうなんですか…」
「うん、でも、二年かかったけどね」
「え、に、二年?」
「うん、ええ、二年…」
あの二年間は長かったーー
ゴクリ…
カクテルを一口飲む。
キン…
グラスの中の氷が、静かに鳴った。
「ゆうじがね…
黒いストッキングが大好きだったのよ…」
わたしは、そう言った。
だって、きっと…
松下さんなら、わかる筈だからーー
「え…」
「………」
わたしは、松下さんの目を見つめ、黙って頷く。
そして脳裏には…
『ハワイから帰ってきたらさぁ、黒ストッキングを穿いてあげるから…』
あの、ゆうじとの最後の会話が甦り、脳裏に巡ってきていた。
『うわっ、マジかぁっ、楽しみだぁ』
ーーだから、わたしは、ここ『波道』を訪れる時には、必ず、黒いストッキングを穿く様にしているーー
ゆうじの為に…
そして、それが『黒い女』からの卒業の証の為にもーー
「………え、そ、そうなんですか?」
松下さんは、少し間を開けて、そう呟く。
「うん……そうなの……」
そしてわたしは…
『アナタならわかるでしょう』
という意を込め、頷いた。
「あ……そ、そうかぁ……」
どうやら、通じたみたいな呟き。
カラン、カラン…
「ノリさん、チィーっす」
その時…
ドアベルが続けて鳴り響き、ガヤガヤと、サーファーの男の子達数人が来店してきた。
「おう、いらっしゃい、奥へどうぞぉ」
そしてノリくんの案内の声が、その来客を奥の席へと導く。
「さぁ、松下さん、席に戻りましょう」
「あ、はい…」
ゆうじのスペースの奥の席へと、彼らが導かれたので、わたしと松下さんはカウンター席へと戻る。
「ふぅ、ま、そんな事なのよ」
わたしは席に座りながら、左隣に座る松下さんに、そう言った。
「あ、は、はい…でも、あの写真の美冴さん幸せそう……あっ…」
松下さんにはそう言って、慌てて口を閉じる。
それはもう、ゆうじが亡くなっているという意味からの、自分の失言的な慌てぶりの所作…
「あ、ご、ごめんなさい…」
そしてまた、それは松下さんの優しさ。
「うん、いいのよ…
もう、乗り越えられたから…」
それが『黒い女』からの卒業の証ーー
「乗り越えられた?」
「うん、ようやく、なんとかね…」
「そ、そうなんですか…」
「うん、でも、二年かかったけどね」
「え、に、二年?」
「うん、ええ、二年…」
あの二年間は長かったーー
ゴクリ…
カクテルを一口飲む。
キン…
グラスの中の氷が、静かに鳴った。

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