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シャイニーストッキング
第7章 絡まるストッキング 1
 64 8月4日月曜日午後6時30分

「あっ、そうだ、越前屋くんは明日からはうちのコールセンター部に出社してくれるかな」
「えっ、は、はい…」
「うちの佐々木ゆかり課長を紹介するから、一緒にリストを作ってくれ」
「あっ、はいっ、わかりました」
 かなり張り切った返事をしてきた。

 急遽、リストアップした8人と面談をし、どれもいい手応えを感じていた、とても私一人では決められない、そこでこの越前屋朋美を明日からコールセンター部に出勤させて、ゆかりと私との三人で人選する事にしたのである。

「もう6時半か…」
 そういえば腹が減った。
 さっきの資産運用管理部との会議では久しぶりの興奮と昂ぶりを覚えたから、そのせいもあるのかもしれなかったのだ、なぜなら、逆に昼飯が興奮の余韻で余り喉を通らなかったからである。

「腹が減ったな、何か食いにいくか」
「え、はいっ、やったあ」
 私がそう言うと彼女は嬉しそうにそう明るく喜んでくる。
 この彼女の無邪気な明るさが私は好きであった。
 いつも大きなクリッとした目を輝かせながら明るく話す彼女を見ると、なんとなく心が和むのである。
 しかし彼女の内面は、そんなかわいい見た目とは違い、東大卒らしく明朗聡明であり、
快活で、判断力も速く、そしてなにより腹が座っているのだ。
 今回の会議中もずっと私の傍に置いていただけでも、私の狙いをちゃんと理解をし、自分なりに解釈して考え、申し分ないアシストをしてくれたのである。
 だから明日、いち早くゆかりに引き合わせ、いいコンビとなり、ゆかりの片腕になるのは間違いないだろう、と私は考えているのだ。

「何が食べたいんだ…」
「ええー、どうしようかぁ、この前は中華だったしぃ」
 大きな目を更に大きくしながら楽しそうに考えていく。

「あっ、お肉がいいですっ」
「肉か…いいな」
 そうなのだ、日曜日の夜にゆかりが営業の杉山と東京タワーのテレビ局の帰りにステーキハウスに寄ったと聞いた時に、私も食べたいと思っていたのだった。

「じゃあ、ステーキにするか」
「わぁ、やったぁ…」
 彼女は無邪気にはしゃぐ、その姿は本当に可愛いらしい。

 そして私と越前屋朋美の二人でこの会社がある汐留の最近新しく建った商業ビルの中にある、ステーキハウスに向かったのだ…




 
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