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シャイニーストッキング
第7章 絡まるストッキング 1
 65 和む笑顔

 私と越前屋朋美の二人で、この会社がある汐留の最近新しく建った商業ビルの中にあるステーキハウスに向かった。
 この汐留の商業ビルはこの前ゆかりとランチに訪れたビルなのだ。
 私達はカウンターに座る、このステーキハウスも目の前の鉄板で焼いてくれるスタイルなのである。

「わたし、こんな目の前で焼いてくれるステーキやさん初めてです…」
 嬉しそうに言ってきた。

「そうか、じゃあ、たっぷり食べなよ」
「は、はいっ」
「ビールもらおうかな、越前屋くんは…」
 私はとりあえずビールを頼む。

「はい、じゃあわたしもビールください」
「おっ、飲める口なのか」
「はいっ、実はいけるんです」
「ほおぉ、そうなんだ」
「はい、父親譲りらしくて…」
 実はかなり飲めるのだ、と話してきた。

「じゃあ、遠慮しないで、飲んで、食え」
「はい、ありがとうございます」
 彼女はそう嬉しそうに返事をする。
 
 なんか見てるだけで和むなぁ…
 そう思うのだ。

 ゆかり、美冴、律子と、この一週間にどこに出しても恥ずかしくない、いわゆる美人という類いの三人と逢瀬をしてきたが、この彼女、越前屋朋美の様な可愛い、そう、女の子、という存在も新鮮で、心が和む。

 ただ、女、としては見られないなぁ…
 とても彼女とセックスをするという事は想像もつかない。
 そんな、やや不純な想いで彼女を見ていると携帯電話が鳴った。

 山崎専務からだ…

「はい、大原です…」
「おう、今日、かっ飛ばしたようだなっ…」
「はあ、まあ…」
 山崎専務は今日の資産運用管理部との会議に於いて、私が飛ばした話しを早速耳に入れたようであったのだ。
 そして詳しく話しが訊きたいと、夜の銀座のお誘いである。

「はい、じゃあ9時過ぎに伺います…」
 断る理由はなかったのだ。
 そして律子の顔が浮かんできた。

「大丈夫なんですか…」
「ああ、ゆっくり食えよ」
 訊いてきた彼女に微笑みながらそう言った。

 あ、そういえば…
 そして電話でふと、思い出したのである。

 確か、今日から蒼井美冴が…
 そう、今日月曜日から『黒い女』を卒業した蒼井美冴が出勤した筈なのだ、そして確か面談もすると言っていた。

 そして私は時計を見る。

 まだ午後7時か…
 多分、午後7時半位にゆかりから必ず電話が来る筈なのだ。




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