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シャイニーストッキング
第7章 絡まるストッキング 1
66 一世一代
午後7時か…
多分、午後7時半位に必ずゆかりから電話が来る筈だ。
それも『黒くない女』の初登場と、面談をしてのいつもの興奮の電話が間違いなく掛かってくる筈なのである。
『黒くない女』の初登場は絶対にゆかりに、いや、コールセンター部全員に相当な衝撃を与えている筈なのだ。
だから絶対に、かなりの興奮をして電話をしてくるのは間違いない。
だが、私は実は、もう一日前の日曜日に
『黒くない女』の蒼井美冴を知ってしまっている、いや、抱いていたのだ。
だからオチは既に知っているので驚かない、だが、それは非常にマズいのである。
驚かなければ絶対に、ましてや盗聴器でも付けているんじゃないかっていう位に勘の鋭いゆかりには怪しまれてしまう事は間違いないのだ。
マズいな…
ましてや私は嘘が下手なのだ、
マズい、どうしたもんか…
電話に出ない訳にもいかない。
「あれ、本部長食べないんですかぁ」
彼女の無邪気な笑顔が、今だけは皮肉に感じてしまう。
「あ、いや、食べるよ…」
「でも、今日の会議の本部長、カッコよかったですよぉ…」
「うん、そうかぁ」
「そうですよぉ、管理部のみんな、本部長の迫力に度肝抜かれた顔してましたから」
「そうか…」
「わたしもわかっていたけどびっくりしましたもん…」
「ああ、まあ、この資産運用管理部にだけは飛ばそうと、腹を括ったからなぁ」
「本当。カッコよかったですぅ…」
おっ、腹を括った、か…
そうだ、腹を括くるしかないか。
そうだよ、尖っていくって決めた筈だ。
一世一代の大芝居をするしかないかっ…
そう私は、腹を括ったのだ。
よしっ、掛かってくる前に掛けちゃうか…
「あ、越前屋くん、ちょっと電話してくるから、遠慮しないで食べてなさい…」
私はそう言って、電話を掛けに角にある喫煙ルームに入る、幸い誰もいなかった。
まず、深呼吸をし、心を落ち着かせる、そして一本煙草を取り出して吸う。
一世一代の驚いたフリの芝居をするのだ…
はぁ、ふうぅぅ…
「もしもし、私だ…」
「あっ、部長ぉ、ちょうど電話しようと思ってたんです…」
「お、おお、そうだったのか…」
そしてまず自分を落ち着かせる為にも、すかさずゆかりより先に、今日の資産運用管理部の会議の話しを始めたのである。
午後7時か…
多分、午後7時半位に必ずゆかりから電話が来る筈だ。
それも『黒くない女』の初登場と、面談をしてのいつもの興奮の電話が間違いなく掛かってくる筈なのである。
『黒くない女』の初登場は絶対にゆかりに、いや、コールセンター部全員に相当な衝撃を与えている筈なのだ。
だから絶対に、かなりの興奮をして電話をしてくるのは間違いない。
だが、私は実は、もう一日前の日曜日に
『黒くない女』の蒼井美冴を知ってしまっている、いや、抱いていたのだ。
だからオチは既に知っているので驚かない、だが、それは非常にマズいのである。
驚かなければ絶対に、ましてや盗聴器でも付けているんじゃないかっていう位に勘の鋭いゆかりには怪しまれてしまう事は間違いないのだ。
マズいな…
ましてや私は嘘が下手なのだ、
マズい、どうしたもんか…
電話に出ない訳にもいかない。
「あれ、本部長食べないんですかぁ」
彼女の無邪気な笑顔が、今だけは皮肉に感じてしまう。
「あ、いや、食べるよ…」
「でも、今日の会議の本部長、カッコよかったですよぉ…」
「うん、そうかぁ」
「そうですよぉ、管理部のみんな、本部長の迫力に度肝抜かれた顔してましたから」
「そうか…」
「わたしもわかっていたけどびっくりしましたもん…」
「ああ、まあ、この資産運用管理部にだけは飛ばそうと、腹を括ったからなぁ」
「本当。カッコよかったですぅ…」
おっ、腹を括った、か…
そうだ、腹を括くるしかないか。
そうだよ、尖っていくって決めた筈だ。
一世一代の大芝居をするしかないかっ…
そう私は、腹を括ったのだ。
よしっ、掛かってくる前に掛けちゃうか…
「あ、越前屋くん、ちょっと電話してくるから、遠慮しないで食べてなさい…」
私はそう言って、電話を掛けに角にある喫煙ルームに入る、幸い誰もいなかった。
まず、深呼吸をし、心を落ち着かせる、そして一本煙草を取り出して吸う。
一世一代の驚いたフリの芝居をするのだ…
はぁ、ふうぅぅ…
「もしもし、私だ…」
「あっ、部長ぉ、ちょうど電話しようと思ってたんです…」
「お、おお、そうだったのか…」
そしてまず自分を落ち着かせる為にも、すかさずゆかりより先に、今日の資産運用管理部の会議の話しを始めたのである。