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シャイニーストッキング
第8章 絡まるストッキング2 蒼井美冴
 24 天と地の差

 ヤバい、ついつい話してしまう、どうしよう…
 話したい衝動と自制してくる想いが葛藤をしていた。


 ブー、ブー、ブー、ブー…

 その時であった、健太くんの携帯が着信したのだ。
 健太くんはその携帯の画面を確認したのだが、電話には出ようとしない。

 ははぁ、彼女からだな…
 わたしは瞬時にそう思う。
 そして気を利かせる意味と、彼の巧みな誘導の話術から逃れる為にトイレに席を立つ。

 ふうぅ、ヤバかった、危うく何でも話しそうになってしまっていた…
 まだ少しドキドキとザワザワが胸を騒つかせていたのだ。
 
 さすがに昨日の今日の関係で、ゆうじの事までは話したくはなかった。
 だが、話したいという思いが微妙に湧いていたのは自覚していたのである。

 うーん、ヤバかったぁ、でもなんだろうか、あの惹き込まれるような目の光りは…
 本当に爽やかで、魅力的な笑顔と目の輝きなのだ。
 そう考えながら洗面台の鏡の自分を見つめる。

 やだなぁ、なんかすっかり油断しきったニヤけ顔になってヤバい、ついつい話してしまう、どうしよう…
 話したい衝動と自制してくる想いが葛藤をしていた。

 先週までのわたしは死人のような顔をしていたのに…
 それが、今はこんなニヤけ顔をしている。
 鏡を見ながらそんな自分の変わり身の姿に少し自己嫌悪を感じていたのだ。

 確かに2年は長かったかも…
 今は毎日が輝いている感じがするのである。

 だいたい一週間かぁ、天と地の差があるなぁ…
 そう鏡の自分と会話をするのだ。

 さて、これからどうしようか
 ここらで帰るか、それともまだ健太くんに任せるか…
 とりあえず席に戻る。

「あら、電話は終わったの」
「あ、はい」
「大丈夫なのかな、わたしといて…」
「えっ…」
「彼女なんでしょう、大丈夫なの…」
「あっ、いや、その…」
 とりあえず彼女ではないです…
 そう云ってきたのである。

「ええっ、違うんだぁ」
「は、はい、たまに遊ぶ関係の…」
 少しはにかむ感じでそう云ってきた。

「ふうん、そうなんだぁ…」
「はい…」
 わたしはいつの間にかに健太くんを責めている感じになっていたのだ、だが、別に何とも思ってはいないのである。

「俺には今のこの美冴さんとの時間が大切なわけで…」

「ありがとう…」





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