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シャイニーストッキング
第9章 絡まるストッキング3 大原本部長と佐々木ゆかり部長
36 苛立ち
「なんとなく…浩一さんの声が聞きたくなって…」
わたしは、あの佐々木ゆかりという女部長の電話の声が漏れ聞こえた時に思わずイラッとしてしまった。
決して電話を盗み聞こうとはしていなかったのだが、トイレから戻った時に普通に聞こえてしまったのだ。
わたしだって…
わたしだって、大原さんの、浩一さんの、いや彼の、彼の声が聞きたくなる夜はほぼ毎晩のようにあるのだ…
特に最近二日と開けずに通って来る二代目ボンボン若社長が来店した夜は、必ず彼の声が聞きたくなり、携帯電話を握り、掛けるか、掛けないか、散々逡巡し、迷っているのである。
わたしは我慢している…
それなのにこの平日の木曜日の午前2時半のこの真夜中に
「声が聞きたくなって…」
と、電話をしてきた。
昼間だって一緒に仕事をしてるじゃないか…
いや、今日は一緒に本社に行ったそうじゃないか…
久しぶりに苛立ちを覚えてしまったのだ。
わたしは…
我慢しているのだ…
誰にだって哀しい夜、寂しい夜はある、それはわかる。
大好きな、愛している男の声を、温もりを、香りを、切望する夜は、切望して眠れない夜があるのはわかる。
そして、今の、まだ今の、自分の立場、彼の中での存在の優先順位の位置も理解はしている。
だが、なぜか、今夜は苛立ちを覚えてしまったのだ。
トイレから戻らずにシャワーでも浴びちゃえばよかった…
そうすれば…
そうすれば、彼女の、あんな甘えた声など聞こえなかったはずなのだ…
まさか、 自分がこれほど苛立ちを覚えるとは思わなかった。
だがこれで、今夜、はっきりとわかったのだ。
わたしは彼を、大原浩一を、愛している、愛してしまった…
の、だと。
彼を奪おうか…
彼女から盗っちゃおうか…
銀座の女なのだから、なんて悠長な気持ちなど消し去ってしまおうか…
奪える自信はある…
わたしの方が若いのだ…
女としての魅力は、多分、決して負けてはいないはずだ…
実際、彼は逢う毎に、逢う度に、抱いてくれる度に、愛してくれる度に、迷っている事はわかっているのだ…
付け入る隙間は沢山あるのだ…
どうしようか…
まだまだ先なんて悠長な想いは捨ててしまおうか…
どうしよう…
どうする…律子…
「なんとなく…浩一さんの声が聞きたくなって…」
わたしは、あの佐々木ゆかりという女部長の電話の声が漏れ聞こえた時に思わずイラッとしてしまった。
決して電話を盗み聞こうとはしていなかったのだが、トイレから戻った時に普通に聞こえてしまったのだ。
わたしだって…
わたしだって、大原さんの、浩一さんの、いや彼の、彼の声が聞きたくなる夜はほぼ毎晩のようにあるのだ…
特に最近二日と開けずに通って来る二代目ボンボン若社長が来店した夜は、必ず彼の声が聞きたくなり、携帯電話を握り、掛けるか、掛けないか、散々逡巡し、迷っているのである。
わたしは我慢している…
それなのにこの平日の木曜日の午前2時半のこの真夜中に
「声が聞きたくなって…」
と、電話をしてきた。
昼間だって一緒に仕事をしてるじゃないか…
いや、今日は一緒に本社に行ったそうじゃないか…
久しぶりに苛立ちを覚えてしまったのだ。
わたしは…
我慢しているのだ…
誰にだって哀しい夜、寂しい夜はある、それはわかる。
大好きな、愛している男の声を、温もりを、香りを、切望する夜は、切望して眠れない夜があるのはわかる。
そして、今の、まだ今の、自分の立場、彼の中での存在の優先順位の位置も理解はしている。
だが、なぜか、今夜は苛立ちを覚えてしまったのだ。
トイレから戻らずにシャワーでも浴びちゃえばよかった…
そうすれば…
そうすれば、彼女の、あんな甘えた声など聞こえなかったはずなのだ…
まさか、 自分がこれほど苛立ちを覚えるとは思わなかった。
だがこれで、今夜、はっきりとわかったのだ。
わたしは彼を、大原浩一を、愛している、愛してしまった…
の、だと。
彼を奪おうか…
彼女から盗っちゃおうか…
銀座の女なのだから、なんて悠長な気持ちなど消し去ってしまおうか…
奪える自信はある…
わたしの方が若いのだ…
女としての魅力は、多分、決して負けてはいないはずだ…
実際、彼は逢う毎に、逢う度に、抱いてくれる度に、愛してくれる度に、迷っている事はわかっているのだ…
付け入る隙間は沢山あるのだ…
どうしようか…
まだまだ先なんて悠長な想いは捨ててしまおうか…
どうしよう…
どうする…律子…