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第9章 絡まるストッキング3　　　　　　大原本部長と佐々木ゆかり部長

　44　最適な配置構成

『ANL生命保険株式会社計画準備室』　　
　の、スタートメンバーは、女の室長でコールセンター部部長兼務であるわたしにとって実にやり易いメンバー構成であった、いや、そんな感じにしてくれたようである。

　昨日の段階では、本社人事部に大原本部長と一緒にリストアップしたメンバーの雛形を提出し、稟議の印を貰ったカタチだけであって、このような部署別のメンバー構成は全くしてはいなかった。
　一応、リストアップ各人が本社側からなのか、生保側なのか、そして各々の元所属部署、わかる範囲での取得資格等の覚書等の添付はしておいたのだが、この発表された人事のメンバー構成を見れば見る程、確認すればする程に実によく考えられた、適材適所の配置であり、尚且つ、リーダーであるわたしがあまり気を遣わずに仕事ができるような、正に理想に近い配置であり、異動なのである。

　例えば営業部課長の小林はじめさんは35歳であるのだが、本社では資材関係を主に扱っている第二営業部からの係長からの出世の課長昇進であり、このルートは大原本部長の歩んできたルートなので、本部長の直の部下というわたしにとっては年上であるのだが非常にやり易い、年上部下の課長といえるのである。

　そして人事、総務部の主任である小島剛志さん35歳にしても、山崎専務直の部下である『わたしの味方だから…』
　と、言ってくれた本社総務部の中沢課長の直の部下であり、来春の正式営業開始時には人事部か総務部の課長昇進が約束されているそうであるのだ。
　だから、この人事の配置構成にはわたしのアンチはいないのである。

　そして武石健太と越前屋朋美さんの二人がちゃんとわたしの片腕として、気楽に動けるようなポジションに配置されているのだ。

　このあまりにも適格であり、理想的な適材適所の配置の構成を見て
「これは大原本部長が配置構成したのですか…」
　と尋ねると
「いや、私は生保側のリストアップをしただけであって、ほぼ山崎専務関係が配置構成をしたらしい…」
　と、いう、実に驚きで、且つ曖昧な返事が返ってきたのである。

「ええ、そうなんですか…」

　わたしは大原本部長のその返事を訊いて、思わず言葉を失ってしまう…