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シャイニーストッキング
第9章 絡まるストッキング3 大原本部長と佐々木ゆかり部長
63 記者会見の資料
「ねぇ蒼井さん、ワイン好きかしら…」
仕事が終わって、わたしは蒼井さんにそう訊いた。
「あっ、はい、好きです」
蒼井美冴さんは穏やかな、美しい笑顔で応えてくる。
「千駄ヶ谷に素敵なワインバーがあるの、そこでよいかしら」
「はい楽しみです」
その店は以前に大原本部長に連れて行って貰った店である、ワインの種類も豊富だし、食事もワインに合う和洋折衷の色々なメニューがあったのだ。
「じゃあそこで決まりね、少しだけ待っててね…」
わたしはそう蒼井さんに云い、資料を持って本部長室に向かう。
明日行う記者会見の資料をまとめておいたのである。
「失礼します、佐々木です」
「おう、どうぞ」
本部長がぶっきらぼうな感じで返事をする。
会社内では、人前では、あくまで上司と部下に徹するのだ、誰が見ているか、聴いているかわからない。
「これ、一応明日の記者会見の資料です」
そう云ってファイルを手渡す。
「おっ、ありがとう、これは助かるわ」
「一応、質疑応答の想定問答もまとめてありますから…」
「ええっ、マジか、それはありがたい」
大原本部長は本気で喜んでくれた。
よかったわ、作っておいて…
「これは本当に嬉しい、前に頼もうと思っていたんだが、伝えるのを忘れていたんだよ…」
本当に嬉しいようで満面に笑みを浮かべている。
「はい、一応、秘書代わりもしてますから…」
と、意味ありの目で彼を見つめる。
蒼井さんの件があるのだ、なんとなくなのだが迂闊な事は声に出して話せないような気がしていた。
「そうだな、助かったよ、ありがとう…」
「はい、よかったです」
「うん…」
わたしには、彼のその笑顔が素直に嬉しい。
「これから山崎専務達と明日の打ち合わせなんだ…」
すると今夜の予定を云ってきたのだ。
そして彼の目が
今夜は色々と忙しいから…
と、伝えてくる。
それは記者会見の前日なのだ、もちろん忙しいのは分かっている。
だが、なんとなくだが、今朝のネクタイの件を気にしているらしく言い訳っぽく聞こえるのだ。
「はい…」
大丈夫、分かっています…
と、一応、目で応えた。
「では失礼します」
「うん…」
そしてわたしは一度止まって振り返る。
「明日があるんですから、あまり…」
遅くならないように…
「ねぇ蒼井さん、ワイン好きかしら…」
仕事が終わって、わたしは蒼井さんにそう訊いた。
「あっ、はい、好きです」
蒼井美冴さんは穏やかな、美しい笑顔で応えてくる。
「千駄ヶ谷に素敵なワインバーがあるの、そこでよいかしら」
「はい楽しみです」
その店は以前に大原本部長に連れて行って貰った店である、ワインの種類も豊富だし、食事もワインに合う和洋折衷の色々なメニューがあったのだ。
「じゃあそこで決まりね、少しだけ待っててね…」
わたしはそう蒼井さんに云い、資料を持って本部長室に向かう。
明日行う記者会見の資料をまとめておいたのである。
「失礼します、佐々木です」
「おう、どうぞ」
本部長がぶっきらぼうな感じで返事をする。
会社内では、人前では、あくまで上司と部下に徹するのだ、誰が見ているか、聴いているかわからない。
「これ、一応明日の記者会見の資料です」
そう云ってファイルを手渡す。
「おっ、ありがとう、これは助かるわ」
「一応、質疑応答の想定問答もまとめてありますから…」
「ええっ、マジか、それはありがたい」
大原本部長は本気で喜んでくれた。
よかったわ、作っておいて…
「これは本当に嬉しい、前に頼もうと思っていたんだが、伝えるのを忘れていたんだよ…」
本当に嬉しいようで満面に笑みを浮かべている。
「はい、一応、秘書代わりもしてますから…」
と、意味ありの目で彼を見つめる。
蒼井さんの件があるのだ、なんとなくなのだが迂闊な事は声に出して話せないような気がしていた。
「そうだな、助かったよ、ありがとう…」
「はい、よかったです」
「うん…」
わたしには、彼のその笑顔が素直に嬉しい。
「これから山崎専務達と明日の打ち合わせなんだ…」
すると今夜の予定を云ってきたのだ。
そして彼の目が
今夜は色々と忙しいから…
と、伝えてくる。
それは記者会見の前日なのだ、もちろん忙しいのは分かっている。
だが、なんとなくだが、今朝のネクタイの件を気にしているらしく言い訳っぽく聞こえるのだ。
「はい…」
大丈夫、分かっています…
と、一応、目で応えた。
「では失礼します」
「うん…」
そしてわたしは一度止まって振り返る。
「明日があるんですから、あまり…」
遅くならないように…