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シャイニーストッキング
第10章 絡まるストッキング4 和哉と美冴1

87 5年前、あれから…(73)
その証拠に昨夜和哉に抱き締められながら寝たら、うなされもせずに朝まで眠れたのである。
もしも一人の夜であったなら一睡もできなかったに違いない、そして一晩中泣き叫んでいたかもしれなかった…
わたしはこの和哉という存在に、本当に助けられた、いや、助けられていたのだ。
「おはよう…」
「あ、美冴さん、おはようございます…」
午前7時を少し過ぎていた。
「僕、バイト早番なんです」
「あ、そうか、じゃあ、一旦帰らなくちゃね…」
和哉は起きて着替え始める。
「わたしは…今日はお休みだから…」
「あ、はい、知っています」
そして和哉は、少し心配そうな顔でわたしを見てきたのだ。
何があったかは知らないけど、大丈夫なの?…
そんな感じの顔にわたしは感じられた。
「うん…
大丈夫よ…ありがとう…」
そう呟いた。
「は、はい…
じゃあ、また後で…」
またバイト終わったら…
和哉の目がそう伝えてきたのだ。
「あ…」
わたしはそう声を出し、部屋を出ようとする和哉に後ろから抱き付いたのである。
「み、美冴さん…」
そして和哉は振り返り、わたし達は口吻を交わしたのだ。
そして舌を絡め合い、吸い合い、互いの想いを交わしていく。
愛している…と。
「じゃ、後で…」
そう云って和哉は部屋を出て行った。
じゃ、後で…
じゃ、またバイトの後で…
そういう意味の和哉の言葉ではあろうが、これがわたし達の最後の会話と、キスとなったのである。
「和哉…」
彼が部屋を出た後に、わたしはそのドアを見つめてそう、名前を呟いたのだ。
かずや…
そして唇に残る和哉の感触を…
今さっき抱き付き、手に残る和哉の体の感触を…
部屋に残る和哉の匂いと存在感を…
しばらくドアを見つめながら想い返していたのである。
昨夜、離婚届けに署名捺印をした。
慰謝料の小切手と、領収書と離婚同意書にも勢いで署名捺印してしまった。
もう終わりだ…
あっという間に終わってしまった…
もう終わり…
そして、もうこの街にもいたくはない…
この街の空気さえも吸いたくはない…
だから…
だから…
和哉とも終わりだ…
終わりなの…
さようなら、かずや…
その証拠に昨夜和哉に抱き締められながら寝たら、うなされもせずに朝まで眠れたのである。
もしも一人の夜であったなら一睡もできなかったに違いない、そして一晩中泣き叫んでいたかもしれなかった…
わたしはこの和哉という存在に、本当に助けられた、いや、助けられていたのだ。
「おはよう…」
「あ、美冴さん、おはようございます…」
午前7時を少し過ぎていた。
「僕、バイト早番なんです」
「あ、そうか、じゃあ、一旦帰らなくちゃね…」
和哉は起きて着替え始める。
「わたしは…今日はお休みだから…」
「あ、はい、知っています」
そして和哉は、少し心配そうな顔でわたしを見てきたのだ。
何があったかは知らないけど、大丈夫なの?…
そんな感じの顔にわたしは感じられた。
「うん…
大丈夫よ…ありがとう…」
そう呟いた。
「は、はい…
じゃあ、また後で…」
またバイト終わったら…
和哉の目がそう伝えてきたのだ。
「あ…」
わたしはそう声を出し、部屋を出ようとする和哉に後ろから抱き付いたのである。
「み、美冴さん…」
そして和哉は振り返り、わたし達は口吻を交わしたのだ。
そして舌を絡め合い、吸い合い、互いの想いを交わしていく。
愛している…と。
「じゃ、後で…」
そう云って和哉は部屋を出て行った。
じゃ、後で…
じゃ、またバイトの後で…
そういう意味の和哉の言葉ではあろうが、これがわたし達の最後の会話と、キスとなったのである。
「和哉…」
彼が部屋を出た後に、わたしはそのドアを見つめてそう、名前を呟いたのだ。
かずや…
そして唇に残る和哉の感触を…
今さっき抱き付き、手に残る和哉の体の感触を…
部屋に残る和哉の匂いと存在感を…
しばらくドアを見つめながら想い返していたのである。
昨夜、離婚届けに署名捺印をした。
慰謝料の小切手と、領収書と離婚同意書にも勢いで署名捺印してしまった。
もう終わりだ…
あっという間に終わってしまった…
もう終わり…
そして、もうこの街にもいたくはない…
この街の空気さえも吸いたくはない…
だから…
だから…
和哉とも終わりだ…
終わりなの…
さようなら、かずや…

