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第11章 絡まるストッキング5　　　　　　和哉と健太

　28　整理整頓

　すると健太は思い切った感じで、わたしに訊いてきたのである。

　この電話で気分悪くなってないのか…

　怒ってはいないのか………と。

「えー、何でぇ…」
　するとわたしは務めて明るく、まるで拍子抜けするぐらいにわざと明るく応えたのだ。

「だって…」

「ああ、ま、そういうことか…」
　わたしは独り言のようにそう呟きながら、健太の顔を見る。

　そりゃあ、そう想うわよね…

　ちゃんと話さないとね…


「だって、わたしと健太さんはまだ始まったばかりじゃない…
　いい大人同士なんだから、お互いに色々とあるわけだし、わたし達はまだ始まって三日目なのよ…」
　そう云ったのだ。

　そして、健太の顔を見ながら

「まだ色々と、あるんでしょう…」
　そう訊いたのである。

「う、うん…」
　頷いた。

「大丈夫よ、わたしは健太さんがちゃんと色々と片付けしてくれると信じているから…さ
　それには時間が掛かるじゃない…
　だから平気よ…」

　それに…

「わたしは…もう、いい歳した大人だから…」
　我慢できるの…
　とまでは言えなかった。


「あ………」
　健太は、そんなわたしの言葉に、感動、感激をしたような顔をしている。
　
「でも、綺麗に片付けしてね…」
　そしてわたしは少し悪戯っぽく、そう云ったのだ。

　実はこの言葉が、今のわたしの本音なのである…

　この嫉妬心を早く無くして欲しいのだ…
　そういう意味を込めたのである。


「あ、は、はい…すいません…」
　健太はそう云ってきた。

　その呟きは本音であろう…

　健太はきっと、このお盆休みの９連休中には綺麗に片付けをしてくれる筈なのだ…

　わたしはそう勝手に思い、信じる事にした。

　そしてわたしにだって、もしかしたら、昨夜の和哉との再会を片付けしなくちゃならないかもしれないのだ…

　そして昨夜、寝る間際にそんなわたしなりに出した応え、答えがあったのである。

　どちらにしても、この９連休のお盆休みにはお互いに色々とあり、整理整頓しなくてはならない問題が沢山あるのだ…