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シャイニーストッキング
第11章 絡まるストッキング5      和哉と健太
 71 朝の想い

「……は…ふぅ…」
 わたしはふと目覚める。

 あ…

 隣から健太の寝息が…

 息遣いが…

 体臭が…

 心地よく感じられた。

 前の日が寝不足気味だったので一度は目覚めたのだが、シャワーを浴びたらスッキリしたのと、健太に抱かれた快感の余韻の気怠さも相まって熟睡できたのだ。

 男に抱かれて朝までゆっくりと、こんなに穏やかに眠れたのはあのゆうじに愛されていた以来だわ…

 今日が休みという気楽さや安心感もあったのだろうが、わたしは健太を愛し始めている、いや、愛しているのだと今夜よく実感した。
 そしてこの健太が、このわたしの愛するという想いに値する男なんだという想いも昂ぶったのだ。


 わたしは健太を愛している…

 昨夜、抱かれて、絶頂感の余韻に浸りながら寝落ちする時にそう感じたのであった。

 もうゆうじが亡くなって二年が経つ、彼も許してくれるだろう…

 いや、だからこそ大原浩一本部長を、あのゆうじの象徴でもある『カフェ波動』で、巡り合わせてくれ、わたしを覚醒させてくれた筈なのである…

 わたしはそんな事を想いながら健太の寝顔を眺めていく。
 そしてこの微かに感じる彼の体臭にも違和感はない、むしろ甘く感じる。

 大丈夫…
 健太を信じてこれから愛していくのだ、そして早くこの不安定な自律神経の昂ぶりの暴走を治したい…

「よし…」

 お腹が空いてきた…
 朝ごはんでも作ってあげようか…

 わたしはそっと起きて、キッチンへ降りていく。
 彼に、男に朝ごはんを作るという事。

 これもゆうじ以来だわ…

 朝から胸が昂ぶる想いがしていた。

「あらっ…」

 だが冷蔵庫には食材が殆ど無かった。
 ビール、カンチューハイ、プロセスチーズ、そしていつのだかわからなそうな牛乳パック。

 さすが仕事の忙しい、独身男の部屋らしいわ…

「あ、コーヒー豆発見…」
 そう独り言を呟きながら、キッチンにおもむろに置いてあるコーヒーメーカーでコーヒーを煎れていく。

「ああ、いい香り…」
 ゆっくりとコーヒーが落ちていくにつれコーヒーの香りが拡散し、心を穏やかに、和ましてくれる。

 そういえばゆうじの煎れたコーヒーは絶品だったなぁ…







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