パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第11章 絡まるストッキング5　　　　　　和哉と健太

　87　初めての嘘

　だから真実の事を気にせずに、自由に動ける深夜の時間が必要であり、欲しいのである…

　そうなると実家に帰省し、一時的にこの都内にいなくなるという嘘が一番無理がなく、必要なのだ。

「ふうん、そうなんだぁ…」
　
「そうなんだよ、昨日そう電話が掛かってきちゃってさぁ…
　一応二泊三日位の予定なんだよね…」

「二泊三日かぁ、するとぉ、13日に戻るの？」

「うん、いや、多分、14日の昼間かなぁ…
　ハッキリ分かったら電話するよ…」
　そう嘘を付いたのだ。

　そしてこの嘘は、初めて真実に対してついた嘘でもあるのだ。

　多分、美冴さんが再来店するならこの三日間だと僕はなんとなくだが、考えていたのだ…

　そして、もしこの三日間に再来店しなかったならば、もう二度とは美冴さんには再会出来ないであろう…
　とも思っていたのである。

　そうしたら、完全に美冴さんとの問題、こだわりは諦めて

　新たな一歩を踏み出そう…
　
　とも、考えていたのである。

　それが自分自身の為でもあり、真実、彼女との為でもあり、そして迫りくるこれからの人生の最初の選択の時期を迎えるにあたっての自分自身の新たなる構築の為でもあるのだと…

　そうなのだ、僕には９月になったら、大学卒業後の人生の進路の選択をするという時期が迫っていたのである。

　だからそれまでに、これまでの事を色々と解決し、消化し、新たな自分を構築し、新しい一歩を踏み出そうと、美冴さんとの再会をする前々から決めていたのである。

　五年前の夏に始まったから、この夏てけじめを付けようと考えて、決めていたのであった。

　正に、この夏がラストチャンスであるのだ…

「うん、14日ね…」

「真実、ゴメンな…」

「ううん、大丈夫よ、平気よぉ…
　それにぃ、14日からは一緒なんだしぃ…」
　そう真実は言ってくれる。

　それがまた、僕には急に愛おしい想いを引きよせてくるのだ、そして思わず彼女を抱き締めてしまうのである。

「ま、真実…」

「あん、か、かずやぁ…」

　僕達はキスを交わしていく…

　そして僕は更に、真実に対する愛情を自覚していたのである。