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胡蝶の夢
第6章 腐蝕
「いつでも誰かに掲げられて、お高い場所から見下ろしているんだろう?だから、自分からの謝罪は例外無く受け入れられるものだなんて勘違いしているんだ」
「違います…私はっ…」
「何が違うの?君の言動はそうだったよ。優位にある者の驕りだ」
軽く肩を押しやると、彼女の身体は意図も簡単に崩れた。
横這いに倒れたまま小さく何か呻いている。
「黒崎をいつまでも優位にだなんて僕がさせない。何もかも貶めて、引きずり下ろしてやる」
登ろうと足掻くのも高い場所に居続けるのもあんなにも苦しいのに、真っ逆さまに落ちるのは容易く、一瞬のうちに終わる。
一時の油断に滑り落ち、砕け散ったこのガラスの花瓶の様に…。
「さぁ…君も堕ちておいでよ…。僕と同じ地獄までさ…」
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