この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
胡蝶の夢
第7章 刑徒
「ごめんなさい…」
小さく呟く声が聞こえた。
もう歯止めがきかない。
どんなに伏して乞うたとしても、そんなものどうだっていい。
「それ以上後ろへ下がるとガラスで切るよ…?」
逃げようとする彼女に僕は言った。
破片が床に散りばめられた中に彼女はいる。
破れてもなおその鋭利な切先は煌と輝いていた。
まるで透明な罠のようだ。
気が付いた時には行き先を無くし、捕らわれた者は捕食者に怯えるしかない。
「ごめんなさい…」
壊れたオモチャのようにくりかえす。
「許さない。絶対に許してなんてあげない…」
ふふふっ…
まただ。
知らない間に僕の顔は笑んでいる。
楽しんでいるみたいに。
.