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胡蝶の夢
第1章 ピアノ
「こんなに濡らして、何を期待しているの?」
ふふっ
嘲笑。
彼女の中の甘い幻想こそ、最も打ち砕かなければいけない。
僕は決して美麗に微笑んだりしない。
「ねぇ……、もう罰は済んだとでも思っているの?」
薄く歪んだ狡猾な笑みを浮かべる。
僕は冷酷で、非道で、醜い。
君にとって害にしかならない存在。
そう、あらなくてはいけない。
「君はもっと泣かなきゃいけない」
こんな酷い奴なんて二度と思い出してはいけない。
こんな落ちぶれた僕に愛など捧げてはいけない。
僕はもう以前の僕ではない。
君に相応しくない。
「僕という存在に出会ってしまったことを後悔するといいよ」
だから最後に………傷付けさせて。
息もつけない程の快楽と苦痛の中に、僕がいた事を。
酷い悪夢の中の僕を、忘れないで。
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