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胡蝶の夢
第9章 華

ベスト姿の寛継のシャツが朝の日射しに透けて痛々しい痣が見える。
「その腕どうした?」
言うと寛継は対側の手で隠す様に腕を押さえた。
「いえ、昨夜転んでしまいまして、その時のものかと…」
「そうか……」
応じるがそんなはずはない。
何故ならこれが今回の一度きりではない事を俺は知っていたからだ。
やはり同じ使用人たちから受けたのだろうか?
嫌われ者の俺に味方したばかりに。
「見せろよ、痣」
窓際の寛継に手を伸ばす。
「そんなっ、直弥様にお見せする程ものじゃありませんよ…」
「いいから早く」
腕を取ると、寛継はようやく観念した様だった。
「大したことはないんですよ……」
俺は寛継のカフスを取って腕をまくり上げた。
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