この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
胡蝶の夢
第4章 檻
冷たい夜風が身体の上を撫でていった。
カーテンだけがふわりふわりと揺れ動いている。
世界が時を止めてしまった様だ。
目に映るものにさえ現実味が無い。
「うっ……」
頭で動こうと思っても身体がついて来ない。
糸の切れたマリオネットの様にぐしゃりと捨て置かれたままに固まってしまったみたいだ。
痛い。
何度も突き上げられた喉が。
絞められた首が。
くっきりと手錠の痕の残る手首が。
乱暴に掻き回された後孔が…。
僕は…。
どうしてこんなところにいるのだろう。
全身がベトベトする。
虚ろな視界の中に自分の両手をとらえた。
ネットリと白濁の罪がこびりついている。
結局、僕は手淫で果てた。
散々嬲られて屹立したままの自分を自分で扱いた。
黒崎は笑っていた。
惨めで惨めで仕方がなかったけれど、快感と倒錯の中で躊躇いと罪の意識さえ無くなった。
悦んで頤を跳ね上げた。
…最低だ。
.