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胡蝶の夢
第5章 有罪
どうか、どうか……。
どうか私に贖罪の術を教えて下さい。
「うっ…うぅっ」
貴方の声にならない声が耳鳴りの様に響いて、罪の重さを知らしめます。
「うっ、んんんっーーー」
ごめんなさい。
本当に、ごめんなさい。
無能な私には償う術すらわからない。
昨夜のあの優しい微笑みに、微笑み返す事さえ出来ないままに、なんて仕打ちでしょうか。
貴方はきっと私を呪うでしょう。
私がどんなに貴方を愛しても、貴方は彼の妹である私を疎う。
裏切り者である私を憎む。
これが愛と言うのかもわかりません。
このどうしようもない気持ちが兄の言う通り、貴方への性的な興味なのなら、黒崎の血はなんと卑しく穢れているのでしょう。
ただ、私は貴方を求める。
貴方と同じ空間にいたいと願う。
あの優しい微笑みをもう一度向けて欲しいと願う。
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