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社内の推しメン先輩は、なぜか私のことが好きらしい。
第1章 プロローグ
 そう言いながら、彼は私の身体をいとも簡単に捕らえてしまう。のし掛かる重みが邪魔をして、バタつかせたい手足を動かすことも叶わない。
 逃げ場を失い戸惑う私を、静かに見下ろす黒い瞳。欲を孕んだ眼差しを向けられて、私は羞恥で頬を染める。
「……このまま俺に抱かれて、俺のこと意識して」
 彼の手のひらが、汗ばむ柔肌をゆっくり撫でる。熱を帯びていく身体に伝う、生々しい舌の感触。首筋に散らされるキスの嵐に、理性は否応なく掻き乱されて。
「あ……、ん……っ」
 息が上がる。本能全てをぶつけてくる彼と、全身で快楽を受け止めるしかない私。
 休む暇もなく愉悦を与えられ、甘い責め苦に恥じらいながら悶え、そんな私のはしたない姿に、彼は笑みを深くする。

「……気持ちよさそうだね」
 ───逃げたくても逃げられなくて。

「声がどんどん甘くなってる……」
「やぁ……っ」
 ───むしろもう、逃げる気もなくて。

「……もっと乱れて、俺を感じて」
 ───求められる悦びを知ってしまったら、拒むこともできやしなくて。

 だから。
 だから、わたしは。

「……ぁ、やだ、お願い……っ、







もっと、して……ッ」



 ───もう、我慢するのをやめた。


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