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社内の推しメン先輩は、なぜか私のことが好きらしい。
第4章 壊したい彼と守りたい彼女
彼一色に染まる視界の中心で、先輩の長い睫毛が揺れている。思考が束の間クリアになって、混濁していた意識が一気に唇へと集中する。
そうしてやっと、いま身に起きていることを理解した。
一呼吸分だけ触れ合った熱は、溶け合ってしまいそうなほど温かくて柔らかい。
「……ん、……っ、」
真っ赤に熟れた私の両頬を、そっと包み込む大きな手。繰り返し押し付けられる、生々しい唇の感触。羽根のように軽い先輩のキスは、やがて唇を軽く食んだり啄んだりして、労り尽くすような変化を伴って、ゆっくりと触れ始める。幾度となく優しいキスを与えられて、私はただなすがまま、彼からのキスを受け入れていた。
心臓が壊れそうなほど激しく波打つ。強い熱量のような火照りが全身に広がっていく。拒まなきゃ、という意思は全くと言っていいほど働かない。本能的に嫌だと感じなかったのは、相手がきっと松永先輩だったから。好きな人からのキスを、私は拒めなかった。
「……びっくりした?」
互いの額がくっつきそうなほどの至近距離から、先輩は私をじっと見つめてくる。両頬を手で挟まれているせいで、顔を逸らすことも出来ない。何かを探るような鋭い眼差しが私を射貫き、何度も心臓が止まりそうになる。
「……いきなりで驚いたよね、ごめん」
「………」
「でもキスしたこと自体は謝らないから」
そうしてやっと、いま身に起きていることを理解した。
一呼吸分だけ触れ合った熱は、溶け合ってしまいそうなほど温かくて柔らかい。
「……ん、……っ、」
真っ赤に熟れた私の両頬を、そっと包み込む大きな手。繰り返し押し付けられる、生々しい唇の感触。羽根のように軽い先輩のキスは、やがて唇を軽く食んだり啄んだりして、労り尽くすような変化を伴って、ゆっくりと触れ始める。幾度となく優しいキスを与えられて、私はただなすがまま、彼からのキスを受け入れていた。
心臓が壊れそうなほど激しく波打つ。強い熱量のような火照りが全身に広がっていく。拒まなきゃ、という意思は全くと言っていいほど働かない。本能的に嫌だと感じなかったのは、相手がきっと松永先輩だったから。好きな人からのキスを、私は拒めなかった。
「……びっくりした?」
互いの額がくっつきそうなほどの至近距離から、先輩は私をじっと見つめてくる。両頬を手で挟まれているせいで、顔を逸らすことも出来ない。何かを探るような鋭い眼差しが私を射貫き、何度も心臓が止まりそうになる。
「……いきなりで驚いたよね、ごめん」
「………」
「でもキスしたこと自体は謝らないから」