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蝶の標本〜もうひとつのトパーズ〜
第6章 安息の地
「家を出たい」と僕が父に告げた日、
母の心は壊れてしまった。


僕を見ても、
知らない男性だと、怯えた顔をして、
「岳人さんは幼稚園に行っている」と言い張っていた。


嘘をついてるようにも見えなかったし、
本当に心からそう思っているようだった。


時々、荷物を取りに行きたい時は、
父に連絡して、
母を家から連れ出して貰っていた。




当初、母と僕のことを知った黒田先生から、
自分の処に住めば良いと言って貰っていたけど、
黒田先生と一緒に麻衣子さんのマンションに住むことになった。


まさか麻衣子さんの家庭教師だったあの男が、
僕達の居ない時に家に押し掛けて、
麻衣子さんにあんな酷いことをするなんて、
考えても居なかった。


父に家を出ることを言って、
簡単に最低限の荷物を纏めて黒田先生の家に運び込んでから、
二人で麻衣子さんの家に戻って目にした光景は、
いつまでも頭にこびりついていて、
震えてしまうほどだった。


すぐに黒田先生がブランケットを掛けて見えないようにしてくれたけど、
まるで…
昔の僕と同じだった。


拘束されて、
服を脱がされて、
酷いことを無理矢理されていたのは明らかだった。


黒田先生は、風呂に沸かすように僕に言ったけど、
僕は冷静に、
もしも警察に届けるなら、
先に病院に連れて行った方が良いことを伝えて、
父に電話をした。

祭日でも産婦人科は医者が常勤している。
とにかく、車で麻衣子さんを連れて行って、
身体を診て貰おうと言うことになった。


黒田先生の車で病院に向かう時も、
後部座席でずっと、
震える麻衣子さんの手を握って、
肩を抱き締めていた。


震えているのは麻衣子さんだけではなくて、
僕も震えて泣いていた。


僕と同じだ。
だから…
身体より、心に受けた傷が、
少しでも和らいで欲しいと思った。


でも…
それを和らげるのは、
僕じゃなくて、
黒田先生だ。


僕は、穢れてるから。
それに呪われた血を受け継いでいるんだから。
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