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自分であるために~涙の雨と晴天の虹~
第2章 悲恋の過去と美しいヒーロー
「アンタ誰?? アタシ達、今、忙しいんだけど!」
多勢。人は、どうして1人だと大人しいのに大人数が集まると気が大きくなるんだろう? こんな美少女を前に怯みもしない。不思議だ。
「あんた達○○高校の子達ね」
「それが何よ?」
「パパ様、今、そこの関係なの。どかないなら今から電話して退学にしてやってもいいのよ。証拠はここにある」
女性はスマホの動画と連絡先を見せた。さすがの女子達も去っていった。何者なんだと驚いて、乱れていた呼吸は正常にと戻っていた。
「立てる?」
手を差し出されて、私は、手を取り、立ち上がった。柔らかい女性らしい手。京さんの大きな手とはまた違って、小さくて可愛らしい手に夏らしい爽やかなミントネイルが施されていた。
「やっかいなのに目をつけられて、災難ね~。あなた、可愛らしいから嫉妬してるのね。あたし、草川美紅(くさかわ みく)。よろしくね」
「あ、私は……ここあ、鈴原心愛です。よろしくお願いします」
私が深々と頭を下げると律儀なのね。と微笑んでくれた。「天使の微笑み」って言葉はこの人のためにあるんだなと思った。