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自分であるために~涙の雨と晴天の虹~
第2章 悲恋の過去と美しいヒーロー
【まも Crystal Rose】
「ここ、ここ!」
そう言って、美紅さんは繁華街の片隅のレトロなBerに入っていく。看板には月と薔薇が描かれていた。
「まもちゃん、やっほー!」
「あら、美紅! やっほー! 今日は、新しいお客さん連れてきたのねぇ。売り上げに貢献しちゃって! もっ! 撫で撫でしてあげるわぁ!」
「それはいらん!」
Berに入るなり、親しげにマスターと話す美紅さん。マスターは、いかにも……といったオネェだが、微妙にキレイだ。微妙に……というところがポイント。
美紅さんのいつもの特等席とやらのテーブル席に案内されて、座る。
美紅さんはカシスオレンジを頼んで、私は普通のオレンジジュースを頼んだ。美紅さんが私を連れてきた経緯をマスターに話す。
「美人ってホント大変よねー。変な女に目ぇつけられちゃうんだもの。アタシも美人だから~」
「まもちゃん、みんなにメイク教えてもらってキレイになったもんねー! でもまもちゃんは怖くてみんな逃げてくから大丈夫~!」
「あら、やだも! 失礼ねぇ」
2人の会話を聞いてるだけで楽しくて黙り込んでいると、心愛も話なさいと言われ、しばらく3人で談笑した。